壁の言の葉

unlucky hero your key

2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

とかなんとか。 連日演劇にふれて、いっちょまえに通ぶってみたわけだが、所詮お里は知れている。 エロ屋でござる。 やれ野田秀樹だ、 安部公房だと持ち出して『覗き』がどうのと述べたところで、かく云うエロ屋のほうこそ、覗かせ屋ではないか。 観劇しつつ…

その女は、 純白のレオタードに深紅のガーターとストッキング。ボブの黒髪をそよがせてまっすぐに駆けてくる、少年だ。 フォームは舞うようにゆっくりと。 けれど、ぴんと伸びた四肢はまるでバレリーナのようで。 目指すその美しき光の真下で、コトバを失う…

野田秀樹作演出『赤鬼』一九九六年 WOWOW放映録画にて 芝居は生で体験してこそ、語ることができる。 映像にはせいぜいその匂いのようなものくらいしか記録できない。 それは間違いない。 だから以下は、あくまで放映から推し測った感想にすぎない。 段田安則…

ネタバレ『12人の優しい日本人』感想など。

『12人の優しい日本人』という芝居がある。 劇作家であり、 脚本家でもあり、 最近では映画監督として活躍する三谷幸喜の代表作だ。 あの『古畑任三郎』を書いたひとと言えば、一番わかりやすいだろう。 映画好きなら、このタイトルからすぐに連想するに違い…

お月さまですよ。 凛と光って、ほら。 見てますよ。 ☾☀闇生☆☽

舞い落ちる雪の中 目の見えない子らが両手を広げている ひと粒でも多く感じたいから めがねも手袋もマフラーさえも脱ぎ捨てて その頬に 手のひらに まぶたにくちづけをしては溶けていく ひとひら、ひとひらをおもしろがって キスをもっと もっと。 上気した…

ネタバレ『箱男』。

安部公房の『箱男』は、確かこんな始まり方をする。 男Aの自宅アパートの窓の下。 その空地に、あたまからすっぽりと箱をかぶった人が棲みつく。 Aはその『隣人』が目ざわりで仕方がない。 なぜかしらその存在に、苛立たされる。 というのも、常にそいつに見…

ちゃんと笑え。

たとえば、 A君とBさんが向き合って話している。 A「どうやら、おなかがすいたのでございます、でございます」 B「はい」 A「………………」 B「――はい」 A「でございます」 B「なにか作れってか」 A「でございます」 これを映画のワンシーンとして撮影して、編集…

マドンナが、 八十年代から九十年代にかけて発信してきたエロティシズムは、それ自体が強烈なメッセージだった。 あえて武器として女『性』を駆使し、戦略的にその社会的認識の向上をはかったのだ。 あの有名な、胸をまるでロケットのように強調した衣装は、…

ブログを読み返してみる。 いろんな意味で、おさむいぞ。 俺。 ここのところ自炊をサボっている。 連日の寒さにへこたれて、米を研ぐ気になれないでいるのだ。 それもなんなので、なにかっていうとうどんばっか食っている。 我ながら、しょーもない。 買い置…

眠りにおちかけると、そのたび、 きゅいーん! 銃弾がコンクリート壁をかすめていくような音に起こされる。 あぶねっ、 と思わず首をすくめて目覚めるのだが、いつもと変わらぬ侘び住まいの布団の中。 いったいなにごとか。 けしからんわい。 でまた眠る。 す…

Freedom Cry.

通勤は、勤務先の最寄駅ではおりない。 闇生はあえてひとつ手前で下車して歩くことにしている。 でもって、音楽と風景をむさぼってやるのだ。 出勤したら最後、休憩以外は缶詰となるのだし。 また銀行でつり銭をつくる用事もあるのだし。 それはともかく、そ…

カレイド。

親しき者らと和気あいあい、 たらふく飲み食いした夕食のあとのこと。 とめどのない冗談とワインに飽きた彼女はふと、コップ一杯の水を求めてキッチンへと起った。 すかさずその背中に、テーブルから声がかかる。 「水?」 「うん」 「ごめーん、切らしてた…

ネタバレ「広辞苑の嘘」感想

本日、広辞苑の第六版が発売されるのだとか。 それを指して人はいう、国語辞典の最高峰と。 その最新版だもんだから、朝からニュースは取りざたすわけだ。 なんせ今や電子辞書に標準装備されるくらいの信用度である。 装備の有無が電気屋の売り上げを左右す…

昨日もウォーキングをした。 土手の空には、色とりどりの凧がにぎにぎしく。 親子連れの嬌声が、そこかしこに。 お兄ちゃんが懸命に引っ張って走るのを、幼い妹が夢中で追いかけていて。 それにまた飼い犬がじゃれついて。 さすがに和凧は見当たらず、どれも…

あれって、なんなんでしょ。 祝祭日にヒイキの商店が営業しているか、どうか。 その確認を『無言電話』でやっつけるのって。 ね。 凹みます。あれ。 したたか射し込まれる。 そりゃ確かに合理的だわ。 先方が出た。 それ自体、営業していてこそ。 だから、あ…

後編は、おもに出演者について。 今回の主演は妻夫木聡。 大抜擢である。 作・演出の野田は、現代のファッション戦争と、歴史上のチンギス・ハーンの大遠征を、縦横無尽の言葉遊びと時空のジャグリングでもってダブらせている。 ここで妻夫木は大役テムジン(…

ネタバレ「キル」感想 前篇

NODA・MAP 第十三回公演 野田秀樹作・演出『キル』 十二月二十九日 渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて 再々演である。 初演は1994年。 セット、衣装、音楽など基本的には初演のままであった。 つまり初演で立ち上げた世界が、この物語にとっての正解に近いと…

「年末、やってんの?」 朝も晩も、ひっきりなしにそう訊かれた。 レンタルビデオ屋に勤めていたころの話である。 年の瀬の会員さんからの問い合わせは、ほとんどがこれであった。 そこで営業時間を教えると、 「じゃ、正月は?」 このやりとりは、判でおした…