壁の言の葉

unlucky hero your key

 とかなんとか。
 連日演劇にふれて、いっちょまえに通ぶってみたわけだが、所詮お里は知れている。
 エロ屋でござる。
 やれ野田秀樹だ、
 安部公房だと持ち出して『覗き』がどうのと述べたところで、かく云うエロ屋のほうこそ、覗かせ屋ではないか。
 観劇しつつも、ひとつ演劇論でもぶってやろうかしらと。
 ブレヒトだのイプセンだのと、読んだこともないのを引用して、のたまっちゃおうかしらと。
 耳でタバコ吸っちゃおかしらと。
 つらつら考えつつもこの闇生、実のところあの赤ガーターのケツばっか見てた。
 ばっか見てた。
 ばっか見てた。
 くり返してすまん、ケツ。
 ばっか見てたんだ、俺。


 それもまた『覗き』の構造による恩恵なのか。
 なのだ。

 にしても思う。
 ていうか、だからこそ思う。
 世間が今後ますますヴァーチャルになるほど、生の肉体と肉声によって眼前でつむぎだされる宇宙は、生々しさを増すばかりだろうと。
 んで、嫉妬する。
 芝居という表現に。
 その自由に。
 その、役者と観客のイマジネーションのキャッチボールは。
 離しがたい共有は。
 と形容すべきこの魔力は――、きっと、けったいなものになるはずだ。
 とてつもなく強力だし、
 のっぴきならないこと、赤ガーターの如しである。
 でもってあとを引くのだな。これが。
 なぜなら、ヴァーチャルもまた、想像力を起点とした感受性あってのものだからだ。
 よって、この魅力を『万有淫力』とそう呼ぶことに、した。
 今、した。
 野田観たあとだし。

 
 ほらほら、
 やっぱ、のたまっちゃったでしょ。
 こんなブログ、どうせ誰も読んでないっつの。
 という、中学生的ふてくされ方にかまけて、もう寝ちまえと。
 ココアでも飲んで寝ちまえと。
 寝ながらココア飲んでやれと。
 いや、
 いっそ起きてから、飲んでやれと。
 けど、
 だから、なんなんだと。
 素敵なものを観たあとは、いつだってヤケだぞと。
 素敵な人を見たって、落ち込むぞと。
 落ちこむと大笑いするぞと。
 負けないぞと。
 もう、こうなったらあれだ。
 なんだ。








 
 


 ☾☀闇生☆☽


 なんなんだ。