壁の言の葉

unlucky hero your key

映画。

台風一過。

強風対策として規制現場の保安材には、二重にウエイトをつけた。 そのうえで一晩に8回の規制変えである。 クッションドラムは水を充填したまま規制車によっこらしょと担ぎ上げるし、 カラーコーンのウエイトだって二枚重ねだ。 鉄製の矢印板すらも重ねて設置…

映画『カポーティ』。

寝ても寝ても寝足りない。 夜勤前に『カポーティ』を観る。 フィリップ・シーモア・ホフマンの演技に見とれる。 カポーティの『冷血』は、執筆中のいくたびかの朗読会を経て、完成していたと知る。 超人気作家にしかできないことだが。 村上春樹やスティーヴ…

『ハードエイト』追記。小ネタバレ。

TSUTAYAに返すまえにもう一度見なおした。P.T.A.の『ハードエイト』。 以下、ちょっと小ネタバレ。 あのマッチのエピソード、いらないよねえ。 何かの前ふりにもなっていない。 フィリップ・シーモア・ホフマンのシーンも、もひとつ本編に効果的に関与してこ…

『ハード・エイト』感想。

ポール・トーマス・アンダーソン脚本・監督作『ハード・エイト』DVDにて。 これがこの監督の長編第一作ということである。 出世作『ブギー・ナイツ』はこの二作目とのこと。 しかし若手の新人監督にして、オリジナル脚本で、なおかつ画面のこの落ち着いた風…

ごった煮の魅力。

肌の色はもちろんのこと、 目、髪の色の違い、 言葉や、外見や、文化の違いがごちゃまぜになっているところが面白かったのにね。 昔のスターウォーズは。 架空の人種が入り乱れていたあの感じから、近作は遠のいて。 それにつれて世界観が狭くなっている印象…

主導権。

「エルサに女性の恋人を」、アナ雪ファンの訴え広がる www.cnn.co.jp 政治的主張はむろんのこと、 道徳やら啓蒙やら啓発やら運動やらもふくめ、 その良しあしは別として、 観客側が主導権をにぎると、表現は死ぬね。 すくなくとも映画ではなくなる。 あえて…

化けろ。

「映画化」という言葉が野放しになっていることは、まえにも書いた。 実際は「実写化」というたかだか翻案、……もとい、コスプレ大会にすぎず、映画化をうたうにはほど遠いものばかりで。 奇妙なのは、原作とされる漫画や小説よりその実写化とやらの映像が、…

いろけ。

アニメ『昭和元禄落語心中』の第六話目は『品川心中』が取り上げられていた。 ただどうなんだろう。 二つ目の若造にやれるネタなんだろうか。本来。 見受けもされず、ご指名も絶え、落ちぶれて若手に追い抜かれ、忘れ去られたようにお茶くみばっかしている年…

『バットマン ゴッサムナイト』6話オムニバスOVA。DVDにて。 日本を代表するアニメ制作会社3社(STUDIO4℃、プロダクション I.G、マッドハウス)が、それぞれ2話ずつ担当している。 収録話 『俺たちのスゴい話』 『クロスファイア』 『フィールドテスト』 『…

サム・メンデス監督作ダニエル・クレイグ主演。 『007 スカイフォール』DVDにて 世界中のテロ組織に潜入捜査をしているNATOの諜報部員たち。 そのリストが入ったハード・ドライブが、謎の組織に奪われた。 英国情報局秘密情報部、通称MI6の諜報員007(ジェー…

明け方にゴダールの『アワーミュージック』を観る。 全三章にわかれ、それぞれ地獄篇、煉獄篇、天国篇となっているところからダンテの『神曲』になぞらえられている。 地獄篇は過去のフィクション及びノンフィクション映像のなかに記録された戦争の数々をラ…

『レスラー』感想、追記。

きょうびプロレスについて言うまでも無いことなので割愛してしまったのだが、一応補足しとこっと。 プロレス嫌いというのが、むろん、いる。 血まみれとか、 汗だくとか、 なんか叫んでばっかでうるさいとか、 とりわけ女子プロはぎゃあぎゃあうるさいとか、…

ダーレン・アロノフスキー監督作『レスラー』DVDにて ミッキー・ロークの復活作として話題となった『レスラー』を観る。 全盛期を過ぎ、着実に老いていくベテランプロレスラー「ランディ」を熱演した。 『ナイン・ハーフ』や『ホーム・ボーイ』『ジョニー・…

『ヴェラ・ドレイク』感想。

マイク・リー監督作『ヴェラ・ドレイク』DVDにて 端的に言っちゃえば、まずは人工中絶の是非について考えさせられるのである。この映画は。 その是非の尺度は、法的、倫理的(宗教)、もしくは人道的観点からであり、これらは完全には同一とはならないのでは…

ネットワーク。

久方ぶりに映画『アマデウス』を観る。 当時は天才モーツァルトを見事に演じきったトム・ハルスや、平凡な秀才サリエリを演じてアカデミー最優秀助演男優賞をかっさらったマーリー・エイブラハムの演技に釘付けとなったものであった。 物語はモーツァルト殺…

『アシュラ』追記。

しかし『もののけ姫』のサンもまた獣として育ったが人間たちへの憧憬も、さらにはネガティヴでウェットな疎外感も、あまり感じられなかった。 娯楽として、そこへ磁場をつくることは容易かっただろうに。 サンは獣として育った。 んが『言葉』のなかで生きた…

『アシュラ』感想。

ジョージ秋山原作『アシュラ』劇場用アニメ、DVDにて。 時代をうかがわせるキーワードが『乱世』と『地頭』、そして『飢饉』。 どうやら戦国時代よりは前、という設定らしい。 芥川龍之介の書いた『羅生門』『偸盗』あたりの時代を想定して創作されたのだと…

盆休みはこれといってすることもなく過ごす。 洗濯。 ウォーキング、 サイクリング、 昼寝など。 数日、かつての勤務先の後輩とのメールのやりとりが、ちと宗教がかってきている。 だもんで、話に出た映画のひとつ『最後の誘惑』を観直した。 啓示を受けてか…

おおかみこどもの雨と雪、テレビでやっちゃうのね。 感想をかきあぐねているうちに、このタイミングでくるとは。まったくぅ。あたしゃ長らく地デジ化難民のままなので、ノーマークでした。以下、休憩中に現場からガラケーで書くので簡単に。 獣姦の問題はと…

『さや侍』ネタバレ感想。

松本人志監督・脚本『さや侍』DVDにて 脱藩の罪で投獄された浪人が、裁きのすえに切腹を言い渡される。 ただし条件がついた。 感情を失った若君を笑わすことができたなら無罪放免に処すと。 一日、一ネタ。 執行までの30番勝負。 それがその藩の慣わしなのだ…

『ヒューゴの不思議な発明』感想。

マーチン・スコセッシ監督作『ヒューゴの不思議な発明』DVDにて ドタバタが下手だなあ、スコセッシは。 けど映画を心底愛しているんだなあ。 それが最初の感想である。 予告編とタイトルに煽られて、こっちゃドキドキハラハラしたくてわくわくしているってい…

『ファンタスティック・Mr.Fox』感想。

『ファンタスティックMr.Fox』DVDにて。 原作はロアルド・ダール。 監督はウェス・アンダーソン。 動物たちが『野生』の名にかけて、三人の農・牧場主を相手に繰り広げる食料争奪戦争。 リーダーを張るオス狐とその一家の物語をメインに、ストップ・モーショ…

『瞳の奥の秘密』DVDにて。

ファン・ホセ・カンパネラ監督作『瞳の奥の秘密』DVDにて アルゼンチンから良質な『大人の映画』が届けられた。 刑事裁判所を引退した男、エスポシト。 初老にして独身の彼は、リタイア後の長く孤独な時間を小説の執筆についやしていた。 舞台はブエノスアイ…

デイミアン・チャゼル監督・脚本作『セッション』歌舞伎町 東宝シネマズにて 原題は『WHIPLUSH』。 鞭打ち、だそうな。 片や偉大なジャズドラマーを志す孤独な青年。 片やスパルタ式こそが天才発掘の唯一の教育法だと信じる鬼コーチ。 ジャズにかける二人の…

ジャン=ピェール・ジュネ監督作『ミックマック』DVDにて。 どこの大衆食堂にもある定番メニューではなく。 ましてやファストフードあるいはコンビニのそれのように、平均的な不特定多数を仮想して作られたご飯でもない。 ちんまりとした個人の専門店で食す…

『ぼくのエリ』ネタバレ感想。

トーマス・アルフレッドソン監督作『ぼくのエリ』DVDにて 美しい。 雪に白く閉ざされたスウェーデンの片田舎と、そこに咲き散る鮮血のコントラストが。 子供と大人の、そして性の、あやうい境界線上を彷徨う少年という生き物が、美しい。 そーゆー映画だ。 …

アントワン・フークア監督作『クロッシング』DVDにて 三者三様。本来関係の薄い三人の刑事が、人生の岐路で交錯した。 舞台はNY。 最多人口過密地区であり犯罪多発地帯でもあるブルックリンでのことである。 エディ(リチャード・ギア)。 定年退職を一週間…

『ホテル・ルワンダ』感想。

年末に『ホテル・ルワンダ』をDVDで観た。 その感想を書きあぐねているうちに、とうとう年を越してしまった。 ルワンダのフツ族がツチ族を標的にした実際の民族浄化事件を取り上げていた。 虐殺される運命にあったツチ族の1200人あまりを匿ったフツ族のホテ…

『裏切りのサーカス』ネタバレ感想。

ジョン・ル・カレ原作、トーマス・アルフレッドソン監督作『裏切りのサーカス』DVDにて 舞台は東西冷戦下。 言わずもがな、ロシアがソ連だった時代のことである。 冷戦の名の通り、主な戦闘は兵士たちではなく諜報員たちが、人知れず弾薬を情報にかえて熾烈…

『アーティスト』感想。

ミシェル・アザナヴィシウス監督・脚本・編集『アーティスト』DVDにて サイレント(無声)映画のスター俳優ジョージと、女優の卵ペピーの恋を描く。 二人は慕い合うなか、時代はいつしかトーキー(音付き映画)へと移り変わり、ペピーはそのトーキー女優の注…