壁の言の葉

unlucky hero your key

映画。

『チベットチベット』感想。

キム・スンヨン監督作『チベット・チベット』 ドキュメント映画。 日本生まれ日本育ちである在日三世(韓国籍)の若者が自分探しの旅をする。 時期は97年~99年。 当初は漠然と世界一周を目標としていたが、食わず嫌いにして遠ざけていた祖国韓国を旅し、異…

『ピアノマニア』感想。

リリアン・フランク、ロベルト・シビス監督作『ピアノマニア』DVDにて スタンウェイのピアノ調律師を追ったドキュメント。 シュテファン・クニュップファーというドイツ人で、世界トップクラスのピアニストたちについているそうな。 主にクラシックのピアニ…

『さすらいのレコード・コレクター』感想。

エドワード・ギラン監督作『さすらいのレコード・コレクター』 新宿K’s cinemaにて。 副題「10セントの宝物」 20~30年代のジャズやブルース、カントリーのSP盤を収集するマニアを追ったドキュメント。 その名もジョー・バザード。 狩場はおもに田舎にある古…

『フロウ』感想。

イレーナ・サリーナ監督作『フロウ ~水が大企業に独占される~』 松嶋×町山 未公開映画を観るTV DVDにて 日本未公開映画を紹介するテレビ番組のDVD化シリーズ。 今回のドキュメント映画のテーマは『水』。 この企画、またしてもサブ・タイトルで内容を語り…

『ステロイド合衆国』感想。

クリス・ベル監督作『ステロイド合衆国~スポーツ大国の副作用』松嶋×町山 未公開映画を観るTV DVDにて DVD化が2008年。 日本では2010年。 ほぼ10年前のネタである。 俗に「10年ひと昔」というが、状況はどれほど変化しているのだろうか。 タイトルで語り切…

『ザカリーに捧ぐ』感想。

カート・クエンネ監督作『ザカリーに捧ぐ』松嶋×町山 未公開映画を観るTV DVDにて 実際の殺人事件を被害者側からの視点で追ったドキュメント映画。 ある青年が、その元交際者に殺害された。 犯人はあきらかで、まもなく逮捕されたが、なんと被害者の子供を身…

『フロム・イーブル』感想。

エイミー・バーグ監督作『フロム・イーブル バチカンを震撼させた悪魔の神父』DVDにて。 原題は『Deliver Us From Evil』 『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』というシリーズでDVD化されているうちの一本。 もととなったテレビ番組ではオセロ松嶋と映画評論…

『Hi Jack (I'm Just Dying)』

邦題は『へーい ごきげんはいかが』でしたな。 サディスティック・ミカ・バンドの代表曲のひとつで、アメリカン・ニューシネマの全盛のころのジャック・ニコルソンにあてた英詞が秀逸でした。 というわけで、 というわけでもないのだが、ひっさしぶりに『シ…

黒澤。

作業を楽に手際よくすませるための効率と。 その作品をより良質なものにするための効率とは、必ずしも同じではないわけで。 ましてや良質なものを残すということが、次へとつながり。 そういった地道な積み重ねこそが、長期的に見れば、結局のところは作り手…

『ミッドナイト・ムービー』感想。

スチュワート・サミュエルズ監督作『ミッドナイト・ムービー』DVDにて 低予算でアヴァンギャルドなカルト映画ムーブメントの土壌となったのは、70年代アメリカの深夜映画館である。 人呼んで『ミッドナイト・ムービー』。 その熱き現象を巻き起こしたカルト…

根性。

ニッポンジンてどうして根性論、精神論にたよるのか。 などと、彼の言ふ。 うむ。 安易に頼るのはよろしくない。 んが、 進退窮まったここいちばんの瀬戸際では、そうなるのもやむなしではないのか。 映画『ロッキー』の世界的なウケかたを見るに、そう思ふ…

山崎とター。

夜通し冷たいビル風にもまれつづけて凍えきった夜勤明け。 Amazonプライムなんたらで『裏切りのサーカス』を観なおす。 リッキー・ターが、遺体となったとある人物を発見するシーンが黒澤明の『天国と地獄』へのオマージュになっていることに気づく。 初回は…

『ブレードランナー2049』

ドゥニ・ヴィルヌーブ監督作『ブレードランナー2049』新宿バルト9にて フィリップ・K・ディック キャラクター原案、ハンプトン・ハンチャー原案・脚本、 ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード主演。 ふと思い立って新宿へ。 22時15分の回をスマホで予約…

最初の猿。

台風接近による大雨に降りこめられて。 コンビニ・ワインをちびりながら自宅に籠城す。 『2001年宇宙の旅』をアマゾン・プライムで鑑賞。 何年ぶりだろう。 道具(武器)を使うことで最初の『人』となった猿。 いわずもがな『道具』と『言葉』と『火』を使うこ…

シネマ歌舞伎『野田版 研ぎ辰の討たれ』感想。

木野錦花 作、平田兼三郎 脚色、野田秀樹 脚本・演出 中村勘三郎主演。 シネマ歌舞伎『研ぎ辰の討たれ』DVDにて いわゆる善であれ、 いわゆる悪であれ、 人の欲望なり好奇心を喚起することにはどちらも違いがなく。 その程度が、自分には実現されないほどと…

『DIG!』。

オンディ・ティモナー監督作『DIG!』DVDにて 60年代ロックの影響を濃厚に押し出した二つのマイナー・バンド『ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー』と『ザ・ダンディ・ウォーホルズ』を追ったドキュメント。 前者は才気あふれるカリスマ的リーダー、アン…

映画『精神』感想。

想田和弘監督作『精神』DVDにて 《観察映画》と銘打つドキュメンタリー・シリーズ。 今回は精神科診療所『こらーる岡山』を観察する。 まず気づくのはナレーション、音楽が排されていること。 そしてすべての患者たちが顔をさらしている。 淡々と、 といって…

フランキー&ジョニー。

アマゾン・プライムで『フランキー&ジョニー』を観る。 何年ぶりだろう。 VHS時代で、その全盛期にあたしゃそんなビデオ屋に勤めておった。 さらりと観られて、それでいてじんわり、ほんのりできる映画として店長推薦作にあげていた。 もとは大ヒットした舞…

評価。

普段『さん』づけであたしを呼ぶ先輩が、いないところで『ちゃん』づけにしている。 いじられている。 休憩中、現場からはなれた公園で着替えたとき、無線をはずしていた。 その間、彼らはあたしに呼びかけていたらしい。 返答がないので、電源を切ったか圏…

名前で呼べ。

ということで『HUNTER×HUNTER』の連載再開にそなえて、さらっと復習をしている闇生なのであるが。 蟻編の蟻たちには、 暗黙のうちに女王による絶対王政が布かれていたはずで。 んが、 一般蟻にまで名前をもつことを許しちゃったせいで、統制が乱れはじめると…

『悪魔とダニエル・ジョンストン』感想。

ジェフ・フォイヤージーグ監督作『悪魔とダニエル・ジョンストン』DVDにて 生きる伝説的ミュージシャンで画家でもあるダニエル・ジョンストンの半生を追ったドキュメンタリー。 双極性障害(躁うつ病)を患いながら、その妄想にとらわれ苦しむ当人と、周囲の…

寅さん。

高畑勲、 みるたびにどんどん渥美清化してしていくなあ。 「知識はあるのに何も学ばないのをオタクという」(宮崎駿) ジブリのドキュメント映画『夢と狂気の王国』を観て。 ☾☀闇生★☽

海の向こうとの距離感。

というわけで、書きながら『ダイ・ハード』を思い返したりしたのであるが。 あの作品の冒頭のほう、 黒人警官がパトロールがてらにコーヒーとドーナツかなんかを買っていたと思う。 むろん彼の勤務中のことであり、制服で、パトカーによる巡回中のことだった…

冠を継ぐもの。

沙村広明の『無限の住人』は新刊がでるたびに追いかけた。 結局、最終巻までつきあった。 不肖闇生は多少なりとも感受性をひっかかれることもあり、 人に勧めたこともある。 んが、このたびの実写化だか映画化だかしたのは、観ていない。 なので、あたしゃソ…

『乱』4Kデジタル修復版 感想。

黒澤明監督作『乱』4Kデジタル修復版 恵比寿ガーデンシネマにて 黒澤明監督の晩年の最高傑作『乱』を4Kです (この予告につけられた前半の音楽は本編にまったく関係のないもの。原作ファンはげんなり……。なんじゃこりゃ……) 4Kの恩恵は自覚できず。 前より汚く…

巨匠ふたり。

『夢 Dreams』に取り掛かるころの黒澤明に、『族長の秋』の映画化を原作者ガルシア・マルケス自らが持ちかけていたなんて話は、ちょっと驚きですな。 黒澤組の名スクリプター野上照代の著書『蜥蜴の尻っぽ』(文芸春秋)で明かされてました。 脚本チームとして…

『天使と悪魔』感想。

ダン・ブラウン原作、ロン・ハワード監督作『天使と悪魔』DVDにて。 トム・ハンクス、ユアン・マクレガー主演。 キリスト教にまつわる謎解きサスペンス。 今回の舞台はヴァチカン。 次なる法王の有力候補とされる4人の司教が誘拐される。 法王の座をめぐるコ…

『ザ・マジックアワー』感想。

三谷幸喜作・監督作『ザ・マジックアワー』DVDにて あらすじ。 舞台は港町、守加護(すかご)。 葉巻と機関銃の似合うギャング映画さながらの街だ。 事件は、マフィアの下っ端備後(妻夫木聡)がそのボスのオンナ(深津絵里)に手を出してしまったことから始まる。…

『ザ・クリーナー 消された殺人』感想。

レニー・ハーリン監督作『ザ・クリーナー 消された殺人』DVDにて。 主演はサミュエル・L・ジャクソン。 共演にエド・ハリス。 殺人現場を専門とする清掃業を営む元警官トム。 いつものように要請を受けて清掃をした、とある殺人現場。 飛び散った血糊、肉片…

R.I.P.

アニメの色彩設計の開拓者、 宮崎駿、高畑勲の戦友、 ジブリの保田道世さんが亡くなったのを、知る。 先ごろ放送されたドキュメンタリー番組で宮崎駿がもらした「やっちんが死んだ」という言葉ではじめて知った。 彼女の半生を追った『アニメーションの色職…