痛風がおさまりかけてきたと思ったら今度は発熱である。
踏んだり蹴ったりだ。
午後二時、38℃。
水曜夜勤現場からカブでたどる帰路、甲州街道でずんと頭に痛みを感じた。
あたしの場合この季節でも装備はジェットヘルメットである。
走行中、顎の先は明け方の固い風になぶられつづけ、口元からは冷たい風が入り込み、襟足まで攻め込んでくる。
なのでちょうどアイスを食べたときのような痛みだと、この朝の冷え込みに畏れ入った。
ならば痛風の発作も治まりかけていることだし、帰ったらワンカップの熱燗一杯くらいいいだろうと。
芯からあっためようと。
それがよろしくなかったのだろう。
昼過ぎに目覚めると顔がむくんでいた。
頭も目覚めてくれない。
ぶんにゃりしている。
夜勤のあいだはぶるぶる震え続けた。
休憩時間には渋谷を彷徨いつづけたが少しも体が温まらない。
それでもこの日はやけに冷え込むと、ただそれだけしか思わなかった。
明けがた帰宅。
頭の芯にはまだ痛みがある。
凍えた体を熱燗でなぐさめて、コンビニの鍋焼きうどんを貪った。
ラーメン屋の店頭自販機で購入しておいた冷凍の餃子も放り込んだのでニンニクもかなり効いていたはず。
しかしこの期におよんでも意識は治りかけていく痛風にばかり囚われていたのであーる。
九時。
あまりの寒さで目をさます。
昼過ぎ、寒くて寒くてたまらない。
そのまま土中にひきかえすダンゴムシのように布団に埋もれて眠る。
午後二時、起床。
顔がむくんでいる。
あたまもぼんやりとのぼせている。
そして、のどの痛み。
声を出してみると、これが出ない。
ここでようやっと風邪ではないかという説、勃発す。
体温計をさがす。
デジタルのを使ってみるが、液晶がすでに寿命をむかえていて読めない。
水銀式ので計りなおす。
まんまとしてやられた。
云っても38℃だ。
現場は頑張ればこなせないことはないだろう。
けれど仲間にうつしてしまう可能性は否定できない。
この夜は30人の大所帯現場だ。
詰め所にぎっしりといった塩梅だ。
ましてや風邪をおして現場にでてくることの迷惑はかねてから批判していたあたくしだ。
当人だけの問題ではないのであーる。
といって、この時間では代りの人間は見つからないだろう。
ほんとうに済まない。
でもまあ仕方ない。
昼で38℃ということは、夜になれば熱はさらに上昇することにちがいない。
今からまたうどん食って寝る所存。
おつかれ。
☾★闇生☀☽