痛風はおさまりかけている。
痛み止め目の効果もあって、周囲には気づかれずに済んでいる。
昨夜の元請はスーパーゼネコン。
大人数を長期間使う現場だ。
そのためマンションの一室を借り切ってあたしらの控室として開放してくれている。
ありがたし。
暖房も効いている。
かたじけなし。
けれど、同僚とのおしゃべりでの気疲れのほうがあたしにとってはしんどいのだな。
ここ数年、一方的に自分だけ話す連中が増えたように感じる。
あるいは人の話をさえぎってマイクをぶん取るように自分エピソードを披露するやつ。
それからひと言目が「てかさ」の奴。
この「てかさ」はその直前の人の話を云い換える、もしくは否定する言葉だ。
けれど実際は同じことを繰り返しているだけだったりするのよな。
これら人の話を聞かず、
受け止めず、
自分の云いたいことだけを云っておしまい。というのはメールやSNSの影響ではないだろうか。
昔から、日本人は自己主張をしないなどと云われてきた。
個が弱いとか。
けれど、いまやその反動で、組織立ってチームワークよろしく機能しないとにっちもさっちもいかない状況においても、それぞれがそれぞれに勝手な不平不満をのたまっている。
できもしないのにいちいち口応えする。
勝手なことをする。
じゃあ正解をやってみせてくれるかといえば彼らは責任あるリーダーポジションを避け続ける。
主体的・積極的には関わらず。といって辞めもせず。
限りなく外野にちかいところに。
だもんでリーダーばかりがバカを見る。
リーダー手当などない業態だ。
お前とおなじ金額でそれを引き受けてくれているのだ。おべっかを使えとは云わぬ。責任者を立てろよ。敬意くらい表せよ。
あたしゃ尊敬する先輩に教わったとおり、
よその現場ならいち歩兵に徹するよ。
あまりに効率がわるい、不安全だと思ったときにだけ意見する。
けれど、決定権はアタマにあるのだからあくまで意見としてだな。
基本姿勢はリーダーを立てる。
チーム内でのアイディアや意見交換は盛んに。
けれどその採用・不採用の決定権はリーダーに。
方針が決まったら団結。
それが理想でしょう。
今回の能登震災でも素人軍師たちの否定的な意見がSNSをにぎやかしていた。
当事者やその救済に携わったプロたちは、あの野次をどう聞いていたのだろうか。
ときおり雪やあられがパラついた。
城東。
人気の少ない裏通りを歩いて時間を潰す。
断酒も続いている。
五日目。
今晩は先輩からのお誘いで別現場へ。
他支社からの応援と寄せ集め現場なので、戦力が心もとないのであろう。
長年彼が可愛がってきた相棒が年齢と肥満のため動きが悪くなっているのだ。
その劣化は一緒に組んだほかの同僚からも伝え聞いている。
もはやお荷物だと。
かといって長年の相棒を切り捨てるわけにもいくまい。
なので、使い勝手の良いお人よし(つまりあたくしだ)を手元に置いておこうという算段であたしに白羽の矢(?)が当たったのに違いない。
歩兵に徹しましょ。
明け方、多摩川沿いをカブでたどった。
正面に、西へと退却する大きな月。
美しかった。
おつかれ。
☾★闇生☀☽