壁の言の葉

unlucky hero your key

一日分の義。

 さて、義援金である。




 現況では、被災地に駆けつけるインフルエンサーやYoutuberが連日批判されている。
 ただでさえ寸断され通行可能なルートが限られており。
 そこへ承認欲求をこじらせた一般人が続々と殺到したせいで渋滞がさらに悪化。
 必要な物資運搬、捜索・緊急車両などの稼働がそのせいで遅々として進まないでいる。

 


 阪神・淡路大震災での教訓がちっとも活かされていないのである。




 現地警察、および自治体からも一般人の現地訪問や物資運搬の自粛が再三にわたって呼び掛けられており。
 岸田総理もそう呼びかけた。




 また、物資の送りつけも現段階では自粛するようにとのことだ。これも各方面より。
 受け入れ態勢がまだ整っていないのに違いない。 
 道路の復旧でさえ見通しが立つのはまだまだ先だろう。
 そんな状況で全国から送りつけられる大量の物資を安全に集荷・仕分け・発送のできる環境など整えられるはずはなく。
 いまだ孤立した集落やいまだ生き埋めとなっている人々の救助が進められている段階なのだ。
 ヤマザキパン、フジパンをはじめとして大手コンビニ各社が食料などの提供をはじめており。
 それらの物資は自衛隊との連携によって被災地へと配送され、徐々に被災者のもとに届き始めているという。
 つまりワンボックスカー一杯程度の物量で駆けつける素人の出る幕ではないのであーる。
  

 問題は被災地に『何がしたいか』という手前勝手を優先してしまう私心だ。
 その大量のワタクシが救助・救援・支援を阻んでしまっているのだと思う。
 問題はワタクシが『私が何をしたいか』ではないのよね。
 被災地・被災者・現場が何を求めているかなのだな。
 いわずもがな現場が求めているのはプロの仕事であり。
 つまりが個々の承認欲求の解決ではない。
 毎度毎度取り沙汰される千羽鶴の送り付け問題も同じ。
 受け手が何を必要としているかが優先されていない。
 ワタクシの気持ちの解決に囚われ過ぎている。
 そんなものは窮状にある他者からすれば迷惑なだけだろう。
 そして外野の素人たちにできることは普段通りに働き、経済を回し続けることにほかならないのだ。
 その上でもっとも効率的な支援はやはりこれ。



 
 
 
 
 


 
 いち早くYahoo!が受付窓口を立ち上げている。
 有名Youtuberがそこへ大金を募金したとの報道もあった。
 手軽だし、あたしもそこからと考えた。
 けれど、どうにもよろしくなさそうで。
 背景に仄暗い噂が付きまとっている。
 

 他にも某政党がこれも例によって党員を街頭募金に立たせているのだけれども、こちらも全額は被災地に届かないことがすでに知られており選択肢にはない。


 案の定、自治体に直で送るのが確実だろうという声が立っている。
 そんななか、四日にようやく石川県が口座の開設を完了、公開した。


www.pref.ishikawa.lg.jp



 日当制
 で働く者にとっての強味はこういうときにこそあるのよね。
 特にだれに乞われてたわけでもないのに、
 そして何の予定もないのに、 
 週休二日のペースを頑なに厳守している人たち。これ、少なくないのよな。
 収入か少ないと嘆きつつも出勤を増やさない人たち。


 その働き方はむろん自由だ。
 そういう生き方もあるさ。

 
 けれどたとえばその週の勤務日をたった一日だけ増やして、そのぶんを募金にまわすという生き方も選択肢にあるとしたらどうだろう。
 日当制はそういう支援の仕方ができるのが強味、とは考えられないだろうか。
 その日の仕事はきっと特別な一日になるはずだ。
 厭な客、
 無理気味な注文、
 きつい作業に堪えるのも自分のためじゃないのだ。
 被災者のため、というプチ偽善も愉しめる。


 たった一日だよ。


 翌週はまた通常のシフトにもどせばいいじゃんか。
 被災地に駆けつけることも、
 復旧作業や瓦礫運搬を手伝うことも、
 ましてや有名Youtuberやスポーツ選手のように大金を募金することもできないけれど、
 一日ぶん稼ぎを増やすことは容易い。
 お安い御用。自分次第。自己決定だ。


 パチンコに費やす自由もあるが、一日だけ趣味として現場に出るという自由もある。
 被災地へのそういう協力の仕方もあると。
 良い経験だとおもうけれどな。
 




 ☾☀闇生☆☽