ほらそこを、獣がゆく。
夜の路地裏をとぼとぼと、
闇の澱から這い出てきた醜き生き物、闇獣がゆく。
臭うぞ。
闇獣はくさいのだぞ。
そこらへんに捨て置かれた鬱憤やら憎悪やら妬みやらを手当たり次第に貪り食うから、くさいくさいゲップをするぞ。
屁もこけば、
その体臭には鼻がもげそうになる。
明かりのする方で、なにか楽し気な笑い声がして。
ふと惹かれて彼が近寄れば、
にげろ。闇獣が来た。
満月の夜、
ひとり闇獣は泣くのです。
涙の代りに赤い花を吐き出しながら。
☾★闇生☀☽