BLUE GIANT 最新刊 感想。

 ヨーロッパ編『~Supreme』が11巻で完結し、アメリカ編『~EXPLORER』が始動。
 二巻同時発売という戦略はうまいと思うし、読者としてもうれしい。


 以下、ネタバレです。



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 さて国籍、性別、性格それぞれに異なる個性豊かな面々Dai Miyamoto NUMBER FIVE。
 メンバーがそれぞれの個性を存分に発揮しながらも全体として洗練を志すという、理想のチームになりつつあるわけですが。
 チームでの完成形が間近に見えてきたところでDaiは解散を決意しますな。
 そーゆーとこ、ジャズです。
 見えてしまった答にきちんとおさまるように自身を御していくなんて生き方は、居心地がよろしくない。
 昨日の延長で自分を模倣するなんて、まっぴらっす。
 それでこそのジャズだ。
 だもんで、この世界ではメンバーのだれだれが脱退するとか解散するとかについては、ロックほどの騒ぎとはならんのですな。
 包丁いーっぽん、さらしにまーいーて~♪ 的に、ひとりひとりが独立した職人なのであります。
 Daiもまた、自分という可能性には未開の地があるはずだ、とジャズの発祥地である米国へと渡るわけです。
 サックス一本で。
 ところがDaiが選んだ人生双六のふりだし地点は、NYやシカゴあるいはニューオリンズといったジャズの故郷ではなく、なにを目論んでかシアトルだ。
 しかも初戦はロックの土俵で。
 まさに異種格闘技の態である。
 はらはらしますなあ。
 

 このシリーズについてよく「漫画なのに音が聴こえてくる」という感想が聞かれます。
 もはや宣伝コピーと化している。
 しかし、
 聴いたことのない音など、聞こえてくるはずはなく。
 実際は読み手の音楽体験のなかから、たくみに音が導き出されているはずです。
 なので、
 その音は、人によってまるで違う。
 このロックバンドとのDaiのセッションは、読者にどう聴こえるのか。
 簡単にいうと、これまではジャズバンドなのでリズムはスイングしていたでしょうが、このバンドおそらく8ビートとかでしょう?
 跳ねないでしょ?
 ロックに馴染みの薄いひとにとってはどう聴こえるのか。
 
 そのあたりを想像すること自体がスリリングなのですな。
 はい。

 
 でまた、なんでかね。
 泣けるのよ。



 ちなみに1stシリーズへの感想はこちら。
 ↓
yamio.hatenablog.com



 闇生