街道歩きで思い出したのだけれど、
かつてあたしたちは月齢による暦を共通認識としていたそうですな。
二廿三夜塔などが甲州路のあちこちに遺されておりました。
お月見、
というのがかつてはあって。
信仰と呼ぶにはあまりに素朴で愛らしい習慣だったと想像するのですが。
というか今もあるところにはあると思いたいのですが。
ネットをハシゴしながらひとり酒が常のあたしにとっては、なんともいえない高尚な慣習に思えてなりません。
他にも『花見』があり『紅葉狩り』があり『蛍狩り』『雪見酒』『潮干狩り』など、季節と自然を楽しむ習慣がたくさんあった。
花見や蛍狩りはいまでもありますが、もはやイベントと化してしまって日常的な風情を感じることはできません。
日常に地続きでそれらささやかな趣向があるところが、ミソだと思うのです。
森林浴なんて言葉もあります。
んが、
それはマイナスイオンなんて言葉がはやった頃に出てきたような印象なので、歴史は浅いでしょう。
鈴虫の鳴き声の観賞会があったり、
あるいは和鳥の鳴き声を競う会などもあったそうで。
屁をこきわけるのがいれば、それを聞き分けるのもあったともいいます。
お月見。
どうかイヤホンをはずして、虫の音をききながら。
闇生