12巻目。
副題『9月4日 その2』。
ウヴォーを殺った鎖野郎(クラピカ)への復讐にこだわるノブナガ。
しかし団長クロロが『ラブリーゴーストライター』で占ってみると、そこに出てくる『緋の眼』というのが鎖野郎らしく、そいつにこだわる限り団員の半分が死ぬことが暗示されている。
クロロがこの件から引くことを決めた根拠はそこにありました。
ちなみにクロロの額のタトゥ。
十字架っぽいの。
再読で連想するのは、グリードアイランド編登場のゲンスルーの仲間。サブとバラ。
彼らの額のタトゥも形こそ違いますがクロロのそれと同じ趣向のデザインに思えます。
旅団の他のメンバーに同じようなタトゥを入れている人はいないようだから、流星街特有のものではないと思われ。
クロロは流星街で生まれたのではなく、他の多く住人たちと同じように外から捨てられた子だったとも考えられます。
額にタトゥをする習俗の民族だったりするのか。
あるいは罪人の印?
単なるファッションでもないと思う。
とここで、団員になりすましているヒソカからクラピカにメール。
『死体は偽物(フェイク)』
ヨークシンに残された団員の死体はコルトピの『ギャラリーフェイク』で作られていましたね。
マフィアンコミュニティーは旅団が流星街出身と知って、その残党狩りを断念。『終戦』を宣言。
ここでクラピカとレオリオによって流星街が解説されます。
『流星街』
・そもそもは独裁者が布いた人種隔離政策から始まる。
・現在ではもっとも多くの人種が住む街という説。
・政治的干渉を受けない空白地帯。
・投棄される廃棄物を利用することで1000万近い人口を養う。
・マフィアンコミュニティーが大量の武器や貴金属を援助している。
・その見返りとしてマフィアは社会的に存在しない貴重な人材を流星街から得ている。
・マフィアと流星街の蜜月の関係を壊したのが幻影旅団。
てえことは、流星街の長老たちとうまくいっているわけでもないと。
で、旅団。
団長クロロがメンバー全員を『ラブリーゴーストライター』で占います。
結果、ヒソカの占いには、ヒソカがスパイと読み取れる文言がみつかる。
その弁明すら拒むヒソカに激怒したノブナガが居合で斬りかかりますが、寸前に別の場所に瞬間移動させられる。
この能力について、
フィンクスとマチが「たぶん団長の能力」と囁き合ってますな。
つまり仲間ですら知らないクロロの能力、のひとつ。
クロロはこのとき例の『ブック!!』じゃなかった『盗賊の極意(スキルハンター)』のファイル本を見てますから、誰かから盗んだ能力ではあるのでしょう。
それを微動だにせずに発動させている。
なにげにおっそろしい能力ですよね。これ。
ゴレイヌのように念獣と人を入れ替える能力もすごいですが、『入れ替え』である以上、飛ばされる先は読めるわけで。
そこへ行くとこのときのクロロの能力は、読めない。
能力名も叫ばず、
ターゲットを見もしないで、
発動のためのポーズもなく、
ノブナガが瞬間移動させられた距離は、ほんの数メートルですが回避技としては強力です。
ヒソカはクラピカ(鎖野郎)に団員の能力を情報提供していた。
クロロ。
ウヴォーギン。
シズク。
マチ。
フランクリン。
パクノダ。
シャルナーク。
そしてヒソカ自身の8人の能力を。
しかしこれは嘘。
実際にはウヴォーギンとシズクの2人の能力のみ洩らした。
これはちょっと記憶しとくと良いですね。
クラピカは『チェーンジェイル』を試すためにあえてウヴォーを手はじめに選んびましたな。
強化系と知るがゆえに、チェーンジェイルの強度を試したのでした。
その情報はヒソカからだった。
そして後の暗黒大陸編のブラックホエールズ号船内で、クラピカと旅団ははち合わせる可能性が出てきているわけで。
そのときクラピカはシズクの能力を知っている、ということ。
それと同船内にひそむヒソカは、他の団員全員の主な能力を知っている。
のちのグリードアイランド編のレイザー戦でゴン・キルアがヒソカとタッグを組んだことを踏まえれば、クラピカとヒソカが協力し合う可能性もありますわな。
ヒソカは旅団殲滅が目的だし。
クラピカは緋の眼の奪還が最優先とはいえ、旅団への復讐もいまだ強くおもっているに違いないし。
なにより、クラピカ(鎖野郎)が同じ船内にいると知れば、旅団がウヴォーの仇打ちにでる可能性もある。
中でもノブナガは黙ってはいないでしょう。
いやあ、連載再開が待ち遠しい。
さて、ここで作者による解説。
キメラアント編に向けてすこーしずつ作者解説の頻度があがっていきます。
要は旅団員もヒソカも、切り札の能力は仲間にすら隠しているということ。
そして、ヒソカの占いは彼の能力『ドッキリテクスチャー』で改竄されたものでした。
クロロは絶対に当る占い(ヒソカの改竄を含む)を参考に、ヨークシンに留まることにします。
マフィアンコミュニティーが旅団との『終戦宣言』をしたことで、旅団にかけられていた賞金が撤回されました。
ゴンとキルアが旅団を追っていたのはグリードアイランド入札資金のためであり、旅団にかけられた賞金が目的だったのです。
なので二人は旅団を追う理由をなくします。
んがしかし、クラピカの目的『旅団殲滅と緋の眼奪還』への協力を申し出る。
クラピカは自身の能力の制約と誓約をゴン、キルア、レオリオに明かします。
旅団にはパクノダという記憶を探る能力者がいるのでリスクとなりますが。
それを覚悟でクラピカは仲間に話した。
それが仲間の覚悟に対するクラピカなりの礼であると。
旅団は警戒のためアジトを建物ごとコルトピにコピーさせます。
その数50棟。
しかも円も兼ねるというかせオーラの総量が尋常ではない。
ざっと見たところ1棟15階くらいか。
それを50棟というからマンモス団地をまるごと具現化してしまうようなもの。
いやそれ以上か。
おいそれとは近づけず、クラピカはセンリツに協力を要請。
なるほど、
旅団探索に円を使えば、敵の円にひっかかってしまう。
けれど、センリツの並外れた聴力ならば、その恐れはない。
で旅団。
ネオンがオークションに参加したがる理由。
それは、彼女が人体収集家という一面を持つことによる。
そこでクロロは閃きます。
出品されていたなかで人体は、
『緋の眼』
鎖野郎がなぜネオンのいるノストラードについているのか。
そこに旅団と緋の眼の関係を重ねると、すべてつながる。
鎖野郎の目的が『旅団への復讐』と『緋の眼の奪還』であるとクロロは見抜きます。
オークション出品のお宝はすべてコルトピの『ギャラリーフェイク』ですり替え済み。
そして今どこにそれかあるのかも、コルトピにはサーチできる。
コピーの『緋の眼』は『ホテル・ベーチタクル』に!
鎖野郎はそこにいる!
実際は緋の眼のフェイクはネオン警護団のひとりスクワラが守っていました。
あの、いつも犬に囲まれていて、今は亡きヴェーゼの能力で女王様の犬野郎にされてしまったあいつ。
このスクワラ。ネオンの侍女エリザを養うためにボディガードをしているという健気で哀しい男。
マフィアの娘のボディガードを務めなくては養えない女。エリザ。
ううううううむ。
哀しいぞ、スクワラ。
ホテル・ベーチタクルを目指すクロロ以下旅団(パクノダ・ノブナガ・コルトピ・マチ・シズク)。
そのクロロたちをつけるキルア・センリツチームとクラピカ・ゴン・レオリオチーム。
クラピカからホテルにいるのは危険との情報を得て、緋の眼(のフェイク)とともに車で移動するスクワラ。
スクワラ←旅団←クラピカたち、という構図。
クラピカは冷静さを欠いて旅団に接近しすぎてしまう。
すかさず追跡者に迎撃態勢を組むクロロ・マチ・シズク。
クラピカは物陰に隠れます。
が、そのクラピカをかばってゴンとキルアが自ら捕まりに出る。
クラピカ・キルア・ゴン vs クロロ・マチ・シズクの構図。
ちなみにパクノダ・ノブナガ・コルトピは緋の眼(のフェイク)を追って別動隊になっています。
スクワラ←パクノダ・ノブナガ・コルトピの構図。
渋滞にはまっていたスクワラは、あえなくこのパクノダ組につかまって尋問を受けます。
哀しいですな。
哀しいです。
特殊能力で女王様の犬にされ、女に貢ぐために命張って稼いで、最期はこうなりますか。
こうしてパクノダの能力によって鎖野郎の情報を旅団は得るのでした。
クロロ組とパクノダ組はホテル・ベーチタクルで落ち合うことに。
ゴン・キルアも連行されていて。
その待ち合わせのやりとりはセンリツが能力で聞き取っているので、クラピカたちも把握している。
はい。
ここから名シーンのホテル・ベーチタクルが始まります。
サスペンス要素満点ですな。
この状況、リスペクトとして映画に元ネタがありそうですが、あたしには思い浮かびません。
それとこのシーン。レオリオが効いているラジオが重要です。
PN(ペンネーム)チョン・チョンさんリクエストの『MOON CHILD』が終わって1分後に決行。
この曲なんなんでしょかね。
あたし的にはこれが頭に浮かぶのですが。
で、
なんじゃかんじゃあってだな。
ゴン・キルアは脱出に失敗します。
んが、そのごたごたに紛れてクラピカはクロロの拉致に成功。
パクノダはゴン・キルアの記憶からクラピカの情報を得ますが、『ふたり(ゴン・キルア)の記憶を話せば(クロロを)殺す』とクラピカ側から脅迫文が。
パクノダは逡巡します。
蜘蛛を生かすために、頭(クロロ)を犠牲にするか。
あるいは頭を守ることが蜘蛛を生かすことになるのか。
「場合によっては頭より足の方が大事な時もあるだろう」
クロロの言葉を思い出しながら苦悩します。
んが、
旅団にはまだクロロが必要とパクノダは判断。
黙します。
というわけで、
ゴン・キルアとクロロの人質交換の取引へとなだれ込む流れ。
ちなみにここでのやりとりで、
フィンクスがボケかましてノブナガ・パクノダにボコられる一幕が。
このあとシズクにおとされるノブナガは油断させておいての背後からの武器攻撃でした。
んが、ここでのフィンクスは正面からふたりに素手で殴られてます。
取引の場所は『リンゴーン空港』。
この巻をふり返って、
雨がいい演出になっていると思う。
旅団がラブリーゴーストライターの占いについてやりとりしているときにゴロゴロと雷鳴があり、
やがてポツポツと降り出して、
クラピカがゴンたちに自らの能力を説明しているあたりに、稲光があり、
雨はずっと降り続いている。
今の暗黒大輪編というか王位継承戦はずっと船内なので、天候の表現はあまりないですな。
デッキに出るシーンの演出が、期待されます。
快晴でも、
月夜でも、
嵐でも。
キメラアント編でもノヴとモラウが活躍するあたりは雨が降りつづいていたと思う。
ヂートゥの能力でモラウが飛ばされた別空間は晴れたサバンナのようなところでしたが、その能力が解けるとまた雨の街でした。
そのメリハリが効いていた。
ノヴの宮殿侵入も雨。
泥だらけの靴が印象に残ります。
NARUTOでも雨隠れの里でしたっけ? ずっと雨が降りつづいているの。
晴れた荒野ばかりだと単調になるので、こういう気象や時間の変化は案外、重要です。
闇生