壁の言の葉

unlucky hero your key

ハンタ再読。No.9

 9巻目。
 副題『9月1日』。


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HUNTER x HUNTER No.9


 ヨークシンでの地下競売会場を急襲する幻影旅団。
 ノストラードファミリー護衛団で会場内担当のトチーノ、ヴェーゼ、イワンコレフは殉職。
 会場の外を見張っていたクラピカ、センリツ組だが、異変を察知して駆けつけてみると誰もいないじゃないの。
 死体がない。
 椅子すらない。
 すべて旅団員シズクのデメちゃんが吸い取っていることまで、クラピカたちは知らない。
 競売品を納めていた金庫も空っぽだ。
 マフィア激オコとなります。


 一方、気球でヨークシンの夜空を悠々と撤退中の旅団。
 金庫の中身はすでに空だったとのこと。
 ではいったい誰がお宝を?
 各マフィアのトップで構成される元締『十老党』。その武闘派実行部隊となる『陰獣』。
 金庫番によれば、お宝はその陰獣の『梟』と名乗る男がたったひとりで持ち去ったという。
 おそらくはシズクのデメちゃんのような物体を極端に圧縮する能力を使ったのだろう。


 会場上空にあやしい気球をみつけて追跡するマフィアたち。
 なぜマフィアたちは気球を追うのか。
 何者かが競売品をねらっている。という情報(おそらくネオンの予知能力による)を得た『十老党』の誰かが、『陰獣』を手配して、お宝を安全な場所に移動したのにもかかわらずに。
 それは500人近い客を(マフィアの幹部クラスが直々に参加するスタイルの競売だった)さらったから、ですな。
 旅団としては狙ったお宝を陰獣にまんまと隠されたので憤懣やるかたなし。
 陰獣を戦りたい。
 ならばマフィア相手に暴れていれば、そのうち淫陰獣の方から出てくるだろうと。

 
 はい、
 ここでみんな大好きウヴォーギン戦がおっばじまります。
 まずは vs マフィア。
 至近距離からのハンドガン、効きません。
 遠距離からのライフル、効きません。
 どころかそのスナイパーは遠投の石ころで瞬殺。
 対戦車用スーパーバズーカ砲、片手で止めます。
 さすがに泡食って蜘蛛の子散らすように逃げ惑うマフィアたち。
 それをちぎっては捨て、潰しては投げして大暴れのウヴォー。
 クラピカたちは遠くから唖然として見守るしかありません。
 そこへ陰獣到着。
 10名のうち4名。
 蚯蚓(みみず)。
 病犬(やまいぬ)。
 豪猪(やまあらし)。
 蛭。


 ウヴォーはいきなり超破壊拳(ビッグバンインパクト)を蚯蚓にお見舞い。
 このときウヴォーの背中の入れ墨が露わとなって彼の団員ナンバーが11番だと判明。
 隙を見てかみついた病犬の毒牙により首から下が動けなくなるウヴォー。
 蛭がその傷口から体内へ大量のヒルを送り込む。
 しかしウヴォーはなんと首から上だけで応戦して見事三人を始末しちゃうのだな。
 
 
 一方、ウヴォーが蜘蛛(旅団)と知って激昂するクラピカ。
 センリツがフルートで『野の花』を演奏して彼を鎮める。
 おかげで冷静となったクラピカはウヴォーを鎖の能力で拉致。
 中指。『束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)』。
 それは旅団以外に使えば術者本人が死ぬという誓約と制約で強化された能力で。
 クラピカたちは首から下が動かないウヴォーを連れて車で逃亡。
 しかしマチの念糸がウヴォーに仕掛けられており、それを手がかりに旅団から追跡される。
 その旅団に淫獣の梟が急襲。 
 彼の能力、圧縮して捕獲する『不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)』発動。
 すんでのところで旅団員は逃げるが、ノブナガだけが逃げ遅れる。


 ちなみにこういうところを理由としてハンタファンの多くがノブナガは弱いとするのでしょうな。 
 ウヴォーに守るべき相方と認識されていたり、
 シズクに後ろからどつかれて気絶したり。
 

 ここで残りの陰獣たちも登場する。
 しかし名前も能力も戦闘シーンすら紹介されず……敗退。
 描けば充分にページ数かせげるというのに。
 結果のわかりきった戦闘は描かないとばかりの潔さ。
 このばっさり感も冨樫節。


 
 クラピカたちはウヴォーに拷問を試みますが、歯が立ちません。
 クラピカはヒソカと密会します。
 このあたり、ハンター試験の最終試験での密談からのつながりですな。
 ヒソカは旅団の情報を流します。

 旅団とは。
 メンバーは入団志望者が在団員を倒せば交代できる。
 それ以外での欠員は団長がメンバーを補充する。
 活動は主に盗みと殺し。たまに慈善活動(損得無しに盗みや殺しをするということでしょう)。
 ヒソカは2、3年前に4番の男と交代で入団。
 目的は団長と戦うこと。
 しかし、つねに仲間と行動する団長とタイマンするチャンスはなかなか得らない。
 そこで交渉だ。
 ヒソカ「ボクと組まないか?」

 で謎なのだが、
 やはり入団のシステムがわからない。
 タトゥはどういう経緯で刺れるのか。そしてどうやってヒソカは本物のタトゥを免れつつ3年間も団員として在籍できたのか。
 自前で刺れるものなのか?。
 仲間の見ているまえで専属の彫師に刺れさせるのではなく?
 ほら刺れてきたよ、的なぬるさなのか。


 一方その頃、拘束されたウヴォーは。
 陰獣・病犬の毒で首から下がマヒしたまんま。
 護衛団リーダーのダルツォルネが見張っていたが、マフィアに変装した旅団員に侵入され、フィンクスの手刀で撃沈。
 ウヴォーはシズクのデメちゃんに体内の毒を吸い出してもらって復活。
 ウヴォーはクラピカとケリをつけようと再戦に燃えます。


 で、クラピカ。
 護衛団リーダー、ダルツォルネ脱落により臨時的にリーダーに推される。
 そしてウヴォーと1対1で再会。荒野に場所をかえて対決です。 
 クラピカ「今のパンチ、まさか全力か?」
 ウヴォー「2割程度だ。じゃあ半分くらいの力でいくぜ」
 こういう風に力をパーセンテージで表現するのも冨樫節ですな。
 幽遊白書の戸愚呂のが有名ですが、
 キメラアント編に登場するモラウは、宮殿突入直前で普段のコンディションの40%だと呟きます。
 グリードアイランド編でも、ビスケとゴン・キルアの念の修行のなかで、攻防にふりわける念の配分の重要性が説かれます。
 ということで、圧倒的なクラピカの強さを前についにウヴォーは全開となるのでした。
 しかしウヴォーはふたたび『束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)』の餌食に。
 捕獲完了、となってクラピカの回想。
 師匠イズナビとの念の修行期間がここでやっと描かれます。
 水見式によればクラピカは具現化系。
 具現化する武器は鎖と決めます。
 そして『誓約と制約』によって、さらに能力を強化できるとイズナビは教えるのです。
 しかも緋の眼のときだけクラピカは特質系になるということがわかります。
 それは、すべての系統の能力が100%引き出せる『絶対時間(エンペラータイム)』。
 まさかのチート。 
 しかし冨樫がチートをチートのままにするわけがありませんよね。
 ちゃーんと制約を設けてある。
 能力解除後にフラっとよろけますが、
 その理由は王位継承編になって明かされます。


 で、ゴン・キルア・レオリオ。
 ゲーム入札のために金策にあけくれていましたが、ついにマフィアが牛耳る地下オークションに潜入。
 旅団メンバーはそこで破格の賞金首とされておりました。
 
 
 

 闇生