壁の言の葉

unlucky hero your key

ハンタ再読。No.13

 13巻目。
 副題『9月10日』。

f:id:Yamio:20200718222938j:plain
HUNTER x HUNTER No.13


 ホテル・ベーチタクルにてまんまとクロロを拉致ったクラピカ。
 チェーンジェイルで拘束され、強制『絶』にされたうえでのクロロの名セリフ「昼下がりのコーヒーブレイク云々」の車内。
 ところでこの車、誰が運転しているのでしょーか。
 ちょっとわかりまへん。
 クロロとクラピカは後部座席。 
 激高してクロロを殴るクラピカ。この二人は横並びなので後部座席でしょう。
 そのクラピカをいさめるレオリオは、同じ後部座席なのでしょうか。
 つまり後部座席はクロロ・クラピカ・レオリオという並び?
 このときのクロロの心音に耳をふさぐセンリツの背中にはシートの背もたれがあって、クラピカとの位置関係から前部座席。
 センリツはクロロが発する「死を受け入れている」心音に慄き、目を閉じ、耳をふさぎます。
 ということはセンリツは運転していない。
 てことは左ハンドル車の助手席にセンリツはいる?
 では運転しているのは、誰?
 まさかタクシーじゃないよね。


 クロロとクラピカのこのやりとり。
 見た目の状況的にはクロロが劣勢。
 ですが、精神的に追い詰められているのはクラピカの方という矛盾。
 クロロはそこにクラピカの弱点を見出します。
 それは、


 『使命』より『仲間』をとる、


 という確実に刺せる穴。
 これも現行の暗黒大陸編ブラックホエールズ号船内での対決に、効いてくるでしょう。


 一方、アジト。
 留守番組はボノレノフ、フランクリン、ヒソカ
 侵入者の気配に動く三人。
 とそこへカルト登場。
 すぐに逃げ去ってしまう短いシーンでした。
 常に和服なのは母キキョウの影響でしょうかね。
 初見ではよくわかりませんでしたが、ヒソカとイルミが入れ替わったのは、このカルトが気をひいた一瞬だったのですな。
 

 リーンゴーン空港。
 単身取引に現れたパクノダ。
 クラピカが出したクロロ解放の条件とは。
 まずはクロロに対して2つ。
 一、今後一切の念能力の使用を禁止。
 二、今後旅団員との接触を一切禁止。
 クラピカはこの条件を厳守させるためクロロの心臓に『律する小指の鎖(ジャッジメント・チェーン)』を刺す。
 もしも条件を破れば能力発動で即死。

 次にパクノダへの条件2つ。
 一、今夜零時までにゴンとキルアを小細工無しで解放する。
 二、私(クラピカ)について一切情報を漏らさない。
 そしてパクノダの心臓にも『ジャッジメント・チェーン』をほどこす。
 

 クラピカ、
 パクノダとの交渉もまた精神的に劣勢です。
 同胞をなぶり殺しにした血も涙もないはずの旅団員が、仲間のために死ぬ覚悟をして目の前に立っているという、矛盾。
 あきらかにクラピカは動揺しています。


 旅団アジト。
 パクノダは人質のゴン・キルアを交渉に伴うため戻ってきました。
 ここで旅団内で意見が割れます。 
 ゴン・キルアを殺して、クラピカを殺しに行くというフィンクス・フェイタン組。
 対するのは、交渉を遵守してクロロの解放を待とうというパクノダ・マチ・コルトピ組。
 前にも書きましたが、このときコルトピまでもが臨戦態勢を取るのがおもしろい。
 彼のがっつりした戦闘スタイルも一度観ておきたかったですな。
 その一触即発の間に入るのがいつも冷静なフランクリン。
 曰く、最悪なのは団員が全員やられて旅団(くも)が死ぬことだと。
 それ以外は糞みたいなもの。
 だからパクノダにガキ二人(ゴン・キルア)を連れて行かせてもしクロロが戻ってこなかったら、敵に操作されている奴を全員殺して旅団再生すればいいだけだ。


 クールっすなー。
 

 で、ふたたびリーンゴーン空港。
 パクノダと人質ゴン・キルア。
 対してクラピカ・レオリオ・センリツと人質クロロ。
 とここでまさかのヒソカ登場。
 アジトにはイルミ変装の偽ヒソカをのこし、このチャンスにクロロと対決しようとついてきた。
 パクノダ組とクラピカ組。それぞれ別の飛行船で、人質交換の場、荒野におり立ちます。
 人質交換は無事に済んで、クラピカたちはゴン・キルアとともに飛行船で引き返す。
 ヒソカは念願かなってクロロとの対決を希望しますが、クロロが念能力を使えないことを知って、萎えちゃいます。
 彼は壊れたおもちゃには興味がない。
 
 さて、ここでヒソカは団員の証である自分の蜘蛛のタトゥが偽物(ドッキリテクスチャー)であることをクロロに明かしてますな。
 つまり団員との接触を禁じられているクロロでしたが、ヒソカが偽の団員と判明したので条件を破ったことにはならない。
 と知ってクロロは安堵します。
 はいここです。
 団員は誰が選出しているのでしょうか。
 そして繰り返しますが、本物の蜘蛛のタトゥはどういう経緯で刺れるのか。
 ここでやっと団長ははじめてヒソカが正規の団員ではないと知ったわけですよね。
 何かしらの旅団への入団には審査機関があるのでしょうか。
 結成当時のエピソードも少しありましたが、メンバー以外の存在はなかったようにも思える。
 あるいは、強力なパトロンがあって、そこが団員証としてのタトゥを……。
 たとえばカキン王国に……。
 

 旅団アジト。
 降りしきる雨のなかパクノダは手ぶらで戻ってきます。
 路地裏の野良猫への微笑みが、はじめてみせたパクノダの笑顔。
 思えば初登場時から比べてずいぶん綺麗になりましたな。
 センリツも随分可愛くなりましたが、パクノダの変化も有名です。
 作者が感情移入していく過程で、そうなったのではないでしょうか。
 情報を漏らしてはいけない、というクラピカの条件をパクノダは破ります。
 記憶を他人に注入できるメモリーボムをつかって。
 一度に撃てる弾は6発。
 ちょうど結成時のメンバーぶん。
 というそのメンバーとは、

 フェイタン
 フィンクス、
 マチ、
 ノブナガ、
 シャルナーク、
 フランクリン。

 シズク、コルトピ、ボノレノフは新参ものなのですな。
 と知ると、コルトピがあの時臨戦態勢をとったのが、また興味深いです。
 クラピカの条件を破ったのでジャッジメント・チェーンが発動してパクノダ死亡。


 荒野にたったひとり取り残されたクロロ。
 ラブリーゴーストライターの御告げをたよりに単身東を目指します。


 つーわけで、
 サスペンスタッチ全開でつづられたヨークシンのクラピカ編は幕。
 進行中の暗黒大陸編の王位継承戦もクラピカ編といってもよいと思いますが、基本的にクラピカがメインを張るとサスペンス要素が強まるのは計算された緩急の妙技と。
 ゴン・キルア・ゼパイルは同市のサザンピースにあるオークション会場へ。
 クラピカ退場により雰囲気が一転します。
 目当てのグリードアイランドを買い占めるのは大富豪バッテラ氏。
 会場でゴン・キルアはフィンクス・フェイタンと遭遇。
 団長クロロに念がかけられているため、クラピカを殺せないと明かすフィンクス。
 術者を殺せば、その念は死後ますます強固に作用して団長を苦しめるからだとのこと。
 そしてフィンクスは独白します。
 今ごろ団長は除念師を探しているだろうと。
 この時フィンクスはゴンたちには教えませんが、パクノダが命と引き換えに放ったメモリーボムによって、旅団はクラピカの弱点を知っています。
 これも暗黒大陸編ブラックホエールズ号船内での旅団とクラピカの遭遇戦に影響しますなー。


 オークション開始。
 グリードアイランドで現在プレイ中のプロハンター『ジェイトサリ』。 
 彼は7本ものグリードアイランドを所有。
 彼は自ら設けた期限をすぎてもクリアできなかった場合、たとえプレイ中であっても、無償でゲームをオークションに提供すると契約している。
 そういう事情で出品されたわけらしいのだが、
 このジェイトサリさんは、どうなってしまったのでしょう。
 ゲーム内で死んでしまったのか。
 結局、本編では触れられなかったはず。


 ゴン・キルア。
 入札資金は結局のところ用意できませんでした。
 んが、
 買い占めているバッテラ氏は、自らはプレイせず、プレイヤーを募集してゲーム内に送り込んでいる人物。
 ゴンたちがグリードアイランドをプレイできるチャンスは、バッテラに認められてお抱えのプレイヤーになることしかありません。
 そしてハンター専用ゲームということで、バッテラお抱えの懸賞金ハンター・ツェズゲラに『念』の『練』を試されることに。
 しかしここでは門前払い。
 十日後のプレイヤー・オーディションをクリアするには必殺技が必要と考えるゴンとキルア。
 このあたり少年ですなー。
 手っ取り早く必殺技をほしがるところ。
 変化系のキルアは電気を取り入れようと考える。
 一方、ゴンはウイング師範代に相談しますが、強化系に必殺技はいらないとバッサリ。
 そんなもの習得したところで所詮は付け焼刃に過ぎないと。
 つべこべ言わずに基礎練を続けるようアドバイスされます。
 今まで得た能力を総動員するだけで充分対応できるはず。


 一方、旅団。
 フィンクス・フェイタンは強奪したゲームでグリードアイランドに潜入。
  

 クラピカ。 
 ゴン・キルアが修行に没頭している間に、センリツを伴ってそっと街を離れるクラピカ。
 見送りはレオリオのみ。


 ゼパイルの相当に無理な金策でハンターライセンスを質から取り戻したゴン。
 キルアと共にバッテラのプレイヤー・オーディションに挑みます。
 審査方法は受験者ひとりずつ、審査員のツェズゲラの前で『念』の『練』を披露する。
 合格枠は早い者勝ちで上限32名。
 スタートと同時に席を立ったなかにポンズと大団円のラストにゴンたちを襲うなんたら兄弟がいます。
 ベラム兄弟だっけ?
 名前忘れました。
 静観するゴンたちに事情通らしきプーハットが解説をしてくれます。
 この構図もおなじみですな。
 説明シーンを事情通キャラに託すという。
 ゴン・キルアは難なくクリア。
 21名にグリードアイランドをプレイする権利が与えられました。
 レオリオはゴンたちと祝杯をあげて、医大受験のために別れます。
 さて、グリードアイランドをプレイするのはバッテラの古城。
 ゴンはジンが残したデータをもとにグリードアイランドのゲーム世界に入ります。
 「ブック」の呪文で出現するカード用ファイル本。
 およびそのフリーポケットと指定ポケットの説明。
 アイテムは入手するとカード化され「ゲイン」の呪文でもとのアイテムになる、などなど。
 
 しっかしまあ、これらの設定を全部考えて物語も作るのだから恐れ入りますなー。冨樫。




 闇生