第六巻
●ヒソカの条件
天空闘技場。
といえばゴン・キルアがウイング指導のもと念の修行を開始する回でした。
押忍! ズシ登場。
見どころは、
ゴン vs コマ使いのギド戦。
キルア vs 電撃鞭使いのリーベルト戦。
ヒソカ vs ダブルのカストロ戦、など。
まずズシ。
心源流拳法を修行していて、その師範代がウイング。
本編でウイングが「師範」と心の声で呼びかけているが、それはネテロを指すのだろうか。
あるいはビスケの可能性もある。
ウイングがネテロをただの師範と呼ぶのには少し違和感があって。
ハンター協会員としての上下関係ではなく、同流派の師弟としての呼称ならば、ネテロは名誉師範とかではないのか。
ウイングがビスケを師範と呼ぶのならばしっくりいく。
まずはキルアがズシと対戦。
圧倒的実力差を自覚してズシに手加減するキルアだが、それにしてもズシの力量に不可思議を感じてしまう。
ふつうなら一撃で気絶する手刀をくらってもズシは立ち上がるのだ。
そして、ズシが構えを変えたとたん、キルアは異変を感じて退避する。
長兄イルミとおなじ何かを感じる。
そのズシを客席からウイングが制止。
ズシが何か特別な能力を出すことを、師範代ウイングは禁じている模様。
ゴンはゾルディック家の門で修行した成果で、突き一発で連戦連勝。
キルアも手刀ひとつで勝ち上がって行く。
しかし、さらに強くなるためには、どうしてもあのズシやイルミに感じた特別な能力が必要と感じるゴン・キルア。
ウイングのもとズシと一緒に念の修行を開始します。
勝てば勝つほど上の階のハイクラスな部屋に宿泊できる天空闘技場。
ゴン・キルアはついに200階に到達しますが、
そこでヒソカの登場。
ヒソカの強力で邪悪な念のオーラが、200階への立ち入りを拒みます。
ここも注目。
ゴンとキルアはそのオーラを感じてたじろぎますが、案内役の女子はなにも感じていない。
これって実生活でもありますよね。
たとえば自分にとってのカリスマが目の前にいると足もすくみますが、興味のないひとにとってはそのカリスマもただの人。
200階クラスは時間内に登録をすませないと初挑戦のゴンはまた1階からやり直しに。
キルアは天空闘技場経験者で、前回、自分から登録を断っているので今回登録がなければ登録の意思なしとみなされて参加不可に。
こりゃあかんわい、とばかりに念の修行をし直すべく引き返し、二人はウイングに制限時間内に念を習得できるよう指導を依頼。
ウイングによれば、
念とは誰もが内に秘めている力。
眠れるこの力を目覚めさせるのには二つの方法があって。
ゆっくり起こすか。
むりやり起こすか。
念は精孔(しょうこう)という閉ざされた門のなかで眠っており。
その門を外部からの念でこじ開けるのが、後者の目覚めさせ方。
ウイングはゴン・キルアの精孔をむりやりこじ開けてしまう。
ついでながら、
キメラアント編でゴンのジャジャンケンをくらったラモットが念を目覚めさせるのも、この仕組みによりますな。
ラモットはジャジャンケンを耐えはしました。
んが、その後数日の闘病後、念に目覚めた。
ジャジャンケンは奇しくも『むりやり起こす』一撃となり。
それに気づいたコルトは自らをラモットに殴らせる。
同じようにラモットは次々と配下を殴って念を開眼させはじめました。
ま、
ずっとずっと先の話ですが。
ということはコルトにも何かの念能力が設定されているのでしょうかね。
こうして念のひとつ纏(てん)を習得した二人は、晴れてヒソカの邪悪な念をクリアして200階に立ち入る。
ところで、念。
纏だの円だの水見式だのといった一連のことごと。
読者は心源流師範代であるウイングの解説によって知っていくので、この時点で念とその概念は心源流オリジナルのものかと思いがち。
けれど、ヒソカや他の念使いの人物たちは、どこで知ったのだろう。
念自体、我流で開眼させる人はいなくはなく、そういう人たちがそれぞれの業界で才人と呼ばれているとのことだが。
だとしても念の『用語』やそれぞれの関係などは、我流ばかりでは統一できないだろう。
強化系だの、変化系だのといった概念のすり合わせがどこかでなくてはならない。
話をもどす。
待ち受けるのは新人つぶしの三人。
(トンパから始まって繰り返される『新人つぶし』というキーワードにも注目。なんでしょう、漫画界にもあるんでしょうかと勘繰りたくなります。また社会への通過儀礼というものを少年読者に伝えているのかもしれません。)
まずはコマ使いのギドとゴンが対戦。
ゴンは覚えたての念を駆使して善戦するも、あえなく敗戦。大けがを負ってしまう。
一方、雇い主を探して斡旋所をたずねたクラピカ。
その受付に念を知らないことで侮られ、門前払いに。
怪我がなおるまで試合も修行も禁じられてしまったゴンにキルアが付き合います。
そんな謹慎生活中にヒソカ vs カストロ戦が開催されるというニュース。
キルアはヒソカの対戦相手カストロの力量をスパイしようと控室に侵入。
しかしこの階にきたときから二人をマークしていたというカストロ。
その一人が突然『絶』をつかえば否でも目立ってしまう、とおっしゃるカストロ。
カストロのこの能力は今にして思えば『円』だったろう。
会場で観戦することはウイングに禁じられてしまうが、ゴン・キルアは収録したビデオで研究することに。
ヒソカ vs カストロ戦。
有名なこの一戦。
ダブルの念使い。
メモリの無駄使い。
この無駄な努力を嫌悪するヒソカが狂気のショーをおっぱじめるわけですが、
あたしゃアニメ版をよく知らないのですが、アニメではどう演出されていたのか。
結構な残虐シーンの連続ですよね。
この戦い。
ヒソカの楽勝と解釈されていて、カストロの無能ばかり言われていますが、どうでしょう。
自分からどうぞと差し出した方とは違う方の腕を奪われて。
で、残った腕もまたもヒソカが自分で差し出してはいるものの奪われているのは事実。
少なくとも楽勝ではないでしょう。
試合後、幻影旅団のマチに腕を縫合してもらうくだりは次巻ですが。
そうなることを見込んでマチを呼んでいるのか。
あるいはここぞという試合には、毎回保険をかける意味でマチを呼んでいるのか。
どちらにせよマチありきの戦い方なので、個人として楽勝したわけではないとは言えますな。
しかもマチには大金をはたいているはずですから。
闇生