上京して最初についた仕事が完全歩合制の営業だった。
昼休みは仲間たちと向き合ったデスクでおそろいの仕出し弁当をとった。
ちょうど小学校の給食のときのような班ごとに向き合う席のスタイル。
ある日、みんなでとんかつ弁当をとったいたとき、
隣の席の上司が「 闇生、これ食うか? 」と付け合わせの千切りキャベツを差し向けてきた。
こっちは新入社員の若造である。
稼ぎもなく、いつも腹を空かしていて。
ありがたきしあわせ、の態でいただいて口に運んだとき、その上司は吐き捨てるような口調で、
「こんなもん人間が食うもんじゃねえよ」
と聞えよがしに同僚たちに言い放ったのである。
その表情は、まるでキャベツに親でも殺されかのようだった。
その、人間の食うもんじゃないものとやらを咀嚼しながら、青二才のあたしはどんな顔をしたのだろう。
やはり日本人らしく、へらへらとビミョーな笑みをつくっていたのだろうか。
アベノマスク。
なんかばっちいものでも与えられたように、そんなもんいらねえよと表明する人たちがいる。
それはいい。それはいい。
それぞれ考え方はあるし、
この未曾有の事態に正解なんかどこの国も出せていやしないし、条件もちがう。
なにが正解かわからない。
けどだからって、受け取る資格を持たない人などへの寄付に回そうとするのなら、単に「自分は間に合っているから」でいいじゃないかなと。
政策に対する不平不満や憤りや、憎しみや怨恨その他いろいろあるのでしょうが。
ゴミだから寄付、というのは受け取る立場にとってはね、
あのね、
つらいの。
というわけで、
誤解されるとアレなので断っておくが、
別に政策に対する不平不満や憤りや、憎しみや怨恨その他いろいろを否定しているわけではないよ。
その意味でこれも貼っとく。
現場からの叫びです。
ほんとにつらいのは彼ら。
この『戦場』に、支給される10万円をよってたかって提供しようじゃないか。
前線への補給線を軽視する国は、またたくまに敗戦するのですから。
それは戦場経験者ほど身に染みて知っていることで。
99歳の英退役大尉、自宅庭を100往復で医療支援に十数億円集める
ええニュースやん。
彼がもし日本の元軍人さんで、儀仗兵が自衛隊員だったらこんなあたたかい報じられ方はしないのだろうな。
追伸。
マスクや10万円の件。
医療現場こそが最優先される支援対象だと思うのだが。
お金を徴収することばかり考えて、供給や配布する方法を想定してこなかったツケが出てますな。
そして医療を二の次にしてしまうのは、『 票 』のご機嫌をうかがう彼らの習性からなのだろうか。
ご機嫌とりのネタの多寡ばかりに話題が終始してしまう大衆側にも、問題がないとは思えません。
闇生