かたらいの道。

 正月休みの最終日(7日)はこれといって予定もない。
 といって、いつもどおり一日のメインイベントを河原のウォーキングだけで終えとしまうおっさんというのもなんだよなという貧乏性に急かされて、なんとなしに多摩動物園を目指したのである。
 自宅最寄りの動物園でありながら、一度も行ったことがないのである。
 しかし電車のなかでマップをながめているうちに、その動物園に近い高幡不動尊に興味を持ち、
 しかもここも実は未体験で。
 ということでどうせなら動物園に行く前に参詣しておこうと高幡不動で降車し立ち寄った次第であった。
 んが、ふと境内で配布している境内図を見て周囲にハイキングコースがいくつもあることを知る。
 四季の道だの山内八十八ヶ所巡拝コースだの。どれもが境内から続く道だ。
 その図には紹介されていなかったが、マップをみると『かたらいの道』というのもこの境内が起点となっており、多摩動物園の北側外周をなでて西へと伸びている。
 このコースの途中にある高台からの景色が評判だ。
 Googleで調べるとマップ上にコースが赤ラインで表示されたので、好奇心にのってみることにした。
 

 コースは山内八十八ヶ所巡拝コースの途中から分かれている。 
 しかしこの八十八ヶ所コースというのも魅力的だった。
 機会があればこれを順にたどるのも面白そうだ。
 高幡不動尊からその後背の高幡城址にかけてハイキングコースが敷かれ、そのあちこちに石仏が配置されているのである。
 それらを文字通り巡拝していくコースらしい。
 みれば石仏のひとつひとつがすべて顔が違い、寄贈した人とその土地の名が刻まれている。
 寄贈者の顔に似せて彫ったのかもしれない。
 ざっと見たところでは愛媛ばかりであった。
 ということは、おそらく有名な四国八十八ヶ所と関係しているのだろうか。
 そしてこの山内八十八ヶ所はその縮小版のようなものかと想像した。


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高幡不動 山内八十八ヶ所巡拝コース



 けれど侮ることなかれ。
 勾配がなかなかに厳しいのよ。
 そしてそれはそこに接続して動物園の外周をなぞる『かたらいの道』も同じで。
 しかもこの時期、段差の大きい階段に枯れ葉が堆積しているから足を取られやすいのね。


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高幡不動 たからいの道

 

 途中、住宅街を抜けるが大半が勾配のきつい山道だ。
 年寄りにはきついだろう。
 動物園との境界には金網フェンスが設けられ、まるで目隠しのように大人の顔の高さに鉄板が設置されてあった。
 外部からの獣の侵入をふせぐためだという。
 なるほど、タヌキなどは金網程度ならよじ登ってしまう。
 しかし途中に鉄板があるので爪のとっかかりを失い侵入をあきらめざるをえなくなる、という仕掛け。
 景観としてはこのフェンスが少し残念だった。が、仕方あるまい。
 ただし高台からの眺めは評判通り。
 きっと夜景もきれいだろうけれど、夜にこの山道をあるくのは危険だな。外灯もないし。

 ところどころで動物園から獣のにおいがする。
 やぶ越しに園内が見えたりもするが、平日ということもあってかなりすいていたようだ。
 やがて道は舗装道路につきあたって終わる。
 雨雲が接近しているとの予報があったので、動物園はやめにしたよ。





 闇生