そして甲州道中、4回目。
7月15日。日曜。
この日も猛暑が予報されている。
目覚めたのは10時くらいだったか。
すっかり夜勤体質になっているため、一日の始まりとしてはこれでも早いほうである。
あれだけ歩いたのにこの時間に起きるのだから、なんかスイッチが入っちゃったのかもしれない。
ならば、である。
引き続き歩くことにした。
こういうのは、エンジンがあったまっているうちにやっつけとかないとね。
洗濯したり飯食ったりして、なんだかんだで前回の中断ポイント日野駅に着いたのが14時だ。
中央本線伝いに南下す。
中央道の高架をくぐるまえに庚申塔があるという情報があったが、見つけられなかった。
急な階段をのぼった先に、ひょっとしたらあるのかもしれないが、
そんな想像はしなかったことにスルー。
大坂上通りをゆく。
まもなく大通りに合流すると日野自動車本社の広大な敷地を拝むことになる。
ここに上人塚があるという。
どうやら敷地のなからしい。
上人様を拝むのには、入社しなくてはならないのだろう。
まあいいや。
縁がなかったと。
しかしまあ広大です。当然ながら。
こんなとこで働いてたらあたしなんか迷っちゃうね。
さらに西へ行くと『日野台』の交差点。
角に公園があって、その名も一里塚公園だ。
はい。
名の通りここに一里塚があった史実を残そうとした公園なのだろうと。
んが、
解説によれば、実際はこの交差点から東に50m離れた両脇にあったという。
そこに作ろうよ。ねえ。
日本橋から十里(約40㎞)を示していたそうな。
『日野台』の交差点を過ぎると、コニカミノルタの工場。
この敷地の中にも富士塚なる史跡があるとのことだが、これもスルー。
いよいよこのあたりから八王子市内へ突入とあいなった。
やがて道はまたしても国道20号と合流。
つかず離れずの仲なり。
JR八光線を越える。
このあたりは銀杏並木が延々とつづいて、よろしいですな。
紅葉のころにまた来たいですな。
『石川入口』という交差点の先。右手そびえる崖の上へと階段がいざなう。
あたしゃそこから次のスポットである日枝神社に向かったのだが、どうやらこれは裏口にあたるらしいかった。
もひとつ先に男坂、女坂の正面があったのに気づいたのは、参拝を終えてから。
赤坂日枝神社を総鎮守としていて。
この日枝神社は「山王さま」と呼ばれているということだ。
解説板によれば、司馬遼太郎の小説のなかで、新選組の若き志士たちがこの境内で大暴れしたくだりがあるという。
しかし、小説をこういうところの解説板に、まるで史実のように示すのはどうだろう。
司馬遼がそのくだりを書くにあたって参考にした史料を紹介するのなら、まだわかるのだけれども。
でだ、街道にもどるには男坂にしよか女坂にしよか。
壇上から見下ろすに、
男坂は新調して間もないらしく、階の石がどれも白くまばゆいばかり。
女坂は踏みならされて、木陰のなかを縫いつつくだる風情がまたよろし。
迷った挙句に男坂で帰る。
こういうのもゆくゆくは性差別的に問題化するのでしょうかねえ。
屈強なアスリート風情の日焼けしたおっさんが、繰り返しこの坂を駆け上がっては、ぜいはあ、ぜいはあいってました。
頂上で待ち構えてあたしが「ふぁいとー!」と声かければ、きっと「いっぱーつ!」と返してくれたんじゃないかと。
おつかれっ。
つづく。
☾☀闇生★☽