壁の言の葉

unlucky hero your key

風の痛み。

 性懲りもなく、書く。
 痛風である。
 闇生は痛風もちなのであーる。


 若いころは足の裏や指先の違和感どまりであった。
 足の裏がもこもことして、靴の中敷きがよれているのかなといった塩梅でござった。
 よってそれを痛風の初期症状だと認識したことはなかったのであるが、おっさんになってその実情を健康診断の尿酸値に思い知らされる。
 数年まえから足をひきずって現場をこなす時期が毎年かならず発生するようになった。
 その発症のペースが齢を重ねるにつれて短くなってきて、ここ数年は仕事を休みたくなるほどのがちょいちょい、来る。
 

 それでも筋金入りの痛風持ちからすればあたしなんかのはひよっこなのだそうで。
「そんなので痛風を語るなんざ痛風もちの風上にも置けねえ」と鼻で嗤われるのであーる。
 歩けるうちは痛風を騙るな、と。


 すんません。
 

 で、
 あまりにひどくなると内科へ行ってお薬を出してもらうわけで。
 最初のうちは痛み止めと炎症を抑えるお薬をだしてもらう。
 それでしばらく様子を見ましょうかと。
 案の定、痛みがひけばもう忘れてしまうのだな。あたしなんかは。
 して、数年後にまた再発と。
 お医者さんに、そろそろ継続治療に移りましょうかと諭される。
 とりあえず炎症がおさまったらまた来てくださいと。
 へいへい、とあたしゃ空返事。
 痛みが引けば忘れてしまうのだな。
 なんせ薬は飲み続けなければならないという。
 のど元過ぎればなんとやら。
 嗚呼、なんとやら。


 去年の年末から年始にかけてがひどかった。
 年末の抑制で現場がなくなり、
 コロナ騒動による外出が減ったこともあいまって、生来の出不精に拍車がかかってもーた。
 まあ、呑みますわ。あたしなんかは。
 おわってますから。
 タバコも若い頃にやめて、博打もしない独りもんのおっさんで。
 唯一の趣味らしき趣味である執筆も、いいかげんエンドレスの独り言よろしく虚しくなってますからね、吞むのですよ。それは。
 自宅で。
 動画サイト相手に。
 夜勤者だから時間感覚も狂いっぱなしだもんで。
 体に良いわけがない。


 ああそうさ。
 年始の現場はびっこひきながらこなしましたともさ。

 
 で、今回はGWだ。
 その直前から雨天中止が続いて、そしてGW後も雨天中止がつづいた。
 ずっと家にいた。
 五月病といえるのかわからんが、精神的にもどよ~んとおちていたので下界に興味もわかない。
 心が生きると書いて『性』だ。
 エロサイトすら見ない。


 無。


 それはそれは惚れ惚れするような、無。
 あやうく悟りをひらきかけてもーたくらいで。
 痛風も初期症状が出ていたのだけれど、無視だ。
 どうせ痛がって欲しいに違いないのだ。痛風のやつ。
 リアクション待ちだ。
 ならば無視だろう。
 案の定、無視すればいじめは一旦エスカレートする。
 先週末に悪化して、休日はアイシングしてひたすら寝た。
 中断していた『進撃の巨人』を読みつつの寝落ちを繰り返した。
 引き続き痛がってなどやらぬ所存だ。
 淡々と氷を取り替え、進撃の巨人を読みかけて、おちる。
 むろん断酒。
 週明けは痛み止めを飲んで現場をこなし、帰宅してアイシング。
 市販の痛み止めなんか効いてるのかどうなのかわからんかった。
 それでも、周囲に心配がられるような無様な動きはさらさなかった自分を褒めてやりたい、などとは思わない。
 どうでもいい。
 無。
 もうね、これでもかってくらい眠れるのよ。
 断酒のおかげてそれはそれは深く深く眠れる。
 けれどアイシングの氷が溶けると痛みが復活。
 でまた氷をかえてすまし顔で眠る。
 

 ちなみにアイシングはゼリー状栄養飲料のあのパックを使っている。
 ひんやりシートや市販のシップなどまったく効かないからだ。
 空容器に水を溜めて冷凍室に放り込んでおいたものを常備してある。 
 




 おかげで断酒、一週間。
 ざまみろ、俺。
 ざまみろ、痛風な夜だ。
 ざまはない。
 のみたい。




 ☾★闇生☀☽