『ピナ・バウシュ 夢の教室』感想。

 アン・リンセル監督作『ピナ・バウシュ 夢の教室』DVDにて


 世界的なコンテンポラリー・ダンスの舞踏家であり振付家でもあるピナ・バウシュによる貴重な演出時の記録。
 演目はピナの代表作ともいえる『コンタクトホーフ』。
 これをダンス未経験の十代の若者たち40人で上演しようというピナ本人からの企画である。
 ちなみにフィルムは『コンタクトホーフ』本編を通した映像はない。
 レッスンと演出時の記録に終始している。



映画『ピナ・バウシュ 夢の教室』予告編


 指導はおもにピナの同志ともいえるベネディクトとジョーの二人が担当。
 この二人もまた創る人特有の強さと繊細さと豊かさを兼ね備えた魅力あふれる女性たちだ。


 ダンス未経験の若者たちにとっての最大の難関は、自分の殻だ。
 しかも十代だ。
 殻を破ろうとするのを自意識が邪魔をする。
 ましてや演目からは、愛やセクシャルな表現をもとめられるわけであり。
 そんな葛藤のなか二人の講師に導かれ、ピナが直接指導する日までに練習とディスカッションを積んでいく若者たち。
 そしてピナ当人が本編に登場するまでなんとなんと30分。
 焦らすわあああ。
 で、かっこええわあ。この女。


 フェリーニの『そして船は行く』にも出演していたという。
 が、あの豪華客船の優雅で不思議な空気のなかのどこに居たのか、あたしには思い出せない。
 当時は若かったろうし。


 ドキュメント・フィルムとして。
 解説や経緯説明のテロップはおろか心情の代弁もない淡々とした記録であるところが、いい。


 演劇やダンスに興味のない人でも、集団創作の現場としてみれば、チーム論、組織論を考えさせられるだろうねえ。


 ☾☀闇生★☽