壁の言の葉

unlucky hero your key

いかほ。

f:id:Yamio:20180604031744j:plain


f:id:Yamio:20180604031805j:plain

 石段の途中で。




 渋川についたのが昼。
 コンビニくらいあるだろうとふんでいたのだが、ファミマもセブンもローソンも見当たらない。
 駅舎のNEW DAYSくらいか。
 かえってそれがうれしかった。
 駅前で腹ごしらえできそうなのは和食レストランとラーメン屋くらい。
 ラーメン屋を選んで、券売機のボタン配置からこの店のスタンダードであろう品を読み取ってチョイス。
 でろでろのとんこつスープが売りらしい。
 うまし。
 客はあたしのみ。


 路線バスを使って伊香保温泉へ。
 バスも年季が入っていた。
 着いたその停留所で、ジャージのおばちゃんに話しかけられる。
 地元の人だろう。
 宿が決まっているのかなどと気さくに問われるので、てっきり呼び込みなのかともおもったが、おばちゃんは今からバスで帰るところらしい。 
 温泉街は全体に射的屋がめだって、
 細い路地の奥まで射的屋が軒を連ねる。
 送迎用にそれぞれの宿が出しているらしきワンボックスが急な坂を行き来していた。
 が、特ににぎわっている印象でもない。
 そのひなびた感じがかえってありがたく。
 伊香保神社への参道となる365段の石段の道を、うろうろと。
 その途中には、足湯場もあった。


 泊まった旅館には、訪れた有名人のサイン色紙がずらりと張り出され。
 そのどれもが昭和のもので、
 添えられた写真はセピア色に褪せていた。
 従業員はアジア系とおぼしき外国人ばかり。
 愛想がよく、行儀もよく、優しくていねいで、日本語もふつうに通じた。
 恐れ入る。


 何年かぶりの家族全員集合、の会。
 すぎた時間のぶんだけ、みんなちゃんと歳を取っていた。
 ひとつ屋根の下で毎日顔をあわせ、言葉をかわしていた頃は、しらずに考え方のすり合わせをしていたのだろうが、離れてそれぞれに生活していると、社会や世界に対する考えはやはりずれてくる。



 兄も姉もそれぞれに家族を持ち、子を育て、社会に出し。
 あたしだけがいまだ独り。





 これからもひとり。





 どーぞよろしく。

 ☾☀闇生★☽