『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』感想。

 ヴィム・ヴェンダース監督作『Pina 踊り続けるいのち』DVDにて。



『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』 予告編




 2008年に急逝したコンテンポラリー・ダンス界の巨匠ピナ・バウシュ追想するドキュメンタリー。
 ピナの代表的な公演からの部分抜粋も含まれるが、主には本作収録のための再演と、彼女が率いる舞踏団ヴッパタールのダンサーたちによるそれぞれのピナへの想いの告白。そして団員のソロ・パートの演技で構成されている。
 監督にピナと同じドイツ人であり、映画界、とりわけロード・ムービーの巨匠でもあるヴィム・ヴェンダースを布陣するあたりに、ピナがドイツ芸術界にとっての巨星であったことを偲ばせている。
 感触としては、国葬といっていい。


 ピナ本人が演じている公演映像に再演時のフィルムが重ねられる趣向もおもしろいが、このドキュメントのミソは、ダンサーたちが街なかや自然のなかで踊るシーンである。
 『静』の巨匠ヴェンダースのアクの強い作家性がしゃしゃりでることもなく、ピナの作り上げてきた『動』と見事に融合し新たな表現を生んでいるではないか。

 
 その昔、寺山修司が街をひとつの劇場に見立て、同時多発的に演劇したことがある。
 決して全体を同時に観ることのできない、実験的なパフォーマンスであったそうだが、それを彷彿とさせはしまいか。


 もっと早くに二人が生きて競作することがかなったならば、オリジナル作品としてあらたな世界が展開されたかもしれない。


 巨匠が巨匠に脱帽している。
 そんな一本でござった。



 ☾☀闇生★☽