村上春樹著『職業としての小説家』
と
スティーヴン・キング著『書くことについて』
の二冊を読み終えて、
その余韻に流されたのだろうか。
二冊とも、超売れっ子である著者が、職業作家をめざす若者たちに向けてしるした半生とアドヴァイスである。
共通点はいろいろあるが、二人とも良き批判者を味方につけていることが印象に残った。
それは最初の読者であり、理解者であり、私生活では妻という存在である。
作品が世間から批判される前に彼女らの批判や感想を先に浴びることで、免疫がつくられるらしい。
同時に頭を冷やすこともできる。
重要なのは、批判された具体的な箇所を、額面通りにうけとってその通りに訂正しないこと。
村上春樹の場合、彼女が違和感をおぼえた箇所はなんであれ書きなおすと。
けれど、指摘された箇所を言われた通りに書きなおすわけではないと。
もんだいは、他者がそこに違和感をおぼえたという事実であって、指摘とおりの訂正が最善策になるとはかぎらないということ。
極端なはなし、そこ以外を変えることで全体的に良くなることもあるかもしれない。
これは、作家のみならず世間一般のアドヴァイスとの距離の置き方のヒントになっていると思ふ。
☾☀闇生☆☽