街を歩いていて出くわす光景で、ちょっとだけ嬉しいような気持ちにさせられるのがあたくし的にはふたつある。
ひとつは子が母に一生懸命に話しかけて、それを母が根気よく相手してやっている光景。
幼稚園でその日あったことを、つたない言葉をやりくりしながら伝えようとしている。
もうひとつが、子供のひとりである。
断わっておくが『独りの子供』という意味ではない。
『子供の独り』。
たとえば、ママが端末に夢中になっているその横で、なにか妄想にひたってぶつぶつ呟きつつ頭の中で遊んでいたり。
あるいは下校中。
一緒に帰る友だちもなく、ひとりでやはり想像のなかに意識を遊ばせて歌などうたったり、その想像の住人に話しかけたり。
あの時間が、大切なんだ。と思う。
大人になってする創造も発明も工夫も改善も遊びも苦悩も安らぎも恐怖も、子供の頃から頭のなかに拡げてきた自分の部屋のなかでやりくりされるのだ。
どうか、子供の独りを豊かに。
☾☀闇生☆☽