アイス・バケツ・チャレンジ。
あのポジティヴめかした同調圧力に、つい反抗心を抱いてしまうのはあたしだけではないようで。
飲み会だか、コンパだかの、あのゴリ押しだけで突き進むレベルの低いノリに、半笑いのまま共犯者にさせられてしまうような寒さね。
いや、己のヘタレ具合も含めてね。
ノッてます。という事実を重ねることだけでノッてることにする、あの空しさ。
コンサートで「ありのままに」座ったままでいたら、ステージから「ノリ悪いなあぁ」と罵られるような。
ハニワのような半笑いで立たねばならんような。
手拍子まで強要されて。
本来の主旨からして、それはどうだろうかと、さすがに思ふのだ。
二十年ほど前、ビデオ屋の雇われて店長をやっていたとき、勤務中のカウンターに某有名慈善団体を名乗って寄付を求めてこられた方があった。
その方はその地区の担当らしく、町内で良く見るお顔ではあった。
まるで町内会費を徴収するかのような、寄付して当然至極であるかの口調にこちらが疑問を投げかけると、彼女はこうおっしゃるではないか。
「毎年5千円頂いてますけど」
けど、なんだっつんだ。
前任者のことは知らん。
が、こういうのは個人の意志によるべきであるのに、店舗として、いわば経費として出すのはいかがなものかと思ふ。
ので、不審を拭いきれずにあたしゃこう返したのである。
「あくまで個人的な問題だと考えますので、寄付したいと思いましたら、自分でその受付を探して、自発的にこちらから伺って、あくまで個人的に寄付します」
加えて、寄付したくともあなたを通じては、払いたくありません、とも。
するとそのやりとりを聞いていた副社長(社長の奥さん)が、業を煮やしてこう切り出すではないか。
「最低金額はいくらからですか?」
すげえ。女って。
寄付に下限を問いただすこの感覚もどうかと思うが、徴収委員は渋々とこうのたまうではないか。
「ご、ごひゃくえん」
えええ?
寄付に最低金額が設定されてあんのかいと。
驚くあたしをよそに副社長は、厄介払いとばかりに五百円を出し、しっかり領収書を切らせて追いかえしたのであった。
活動の知名度を上げるため?
無能なタレント議員に投票した有権者の決まり文句だよね。それ。
「けれど、政治に関心をもたせてくれた」っつって。
アホか。
それは政治への関心ではなく、有名人へのその場かぎりの興味本位に過ぎない。
運動化した善意ほど、手のつけられない悪は無い。
☾☀闇生☆☽
ま、誰に指名される心配も無いんですけどね。