親ばかちゃんりん そば屋のふうりん。
滅入るばかりで一向にあかりが見えない。
現場が雨天中止ということもあっただろう。
気分が鬱屈するのを何かで取り戻そうと思案をめぐらしつづけているうちに朝が来てしまう。
ストレッチもした。
筋トレもした。
中断しているゲームも本も手には取った。
録画して手元に置いてあるお気に入りの映画や芝居のDVDも頭を過ぎった。
いままで楽しいと思った漫画や小説に再び触れることで何ごとかを喚起しようと。要は景気付けようとたくらみもした。
ブックマークしたおもしろ動画やエロサイトまで候補に入れた。
けれど、どうせ夢中にはなれぬだろうという心の野次に好奇心を萎えさせられる。
何をやってもお前はダメだ、とそいつが囁く。
Xでなにか呟いたところで部屋の中で独り言を云っているのとかわらない。
フォロワー様にブザマを晒すだけだ。
仲間に雑談メールをしてみる。
返信もない。
そもそもそこまで近しい仲などひとりもいないのだ。
みすぼらしい。
みな引いているのだろうなと自嘲す。
自虐す。
自滅す。
「俺の無線はだれも返事しない」
と某ベテランが嘆くのを聞いてその遥かに後輩が、
「嫌われてんだよ。気づけよ」
と当人に聞こえぬように吐き捨てていたことを思い出す。
明け方、雨のなかコンビニへ。
酒を買う。
帰宅して、別に飲みたくもなければ腹も減っていないことを自覚す。
もっとも評価の低い自作を読み返す。
おもしれえと思ふ。
読み耽る。
たまらぬなと思ふ。
これはダメな子ほどかわいいとする親ばかの境地なのだなと気づく。
それでも酒におぼれるよりはいいじゃないかと自己弁護。
没頭できたのはそのひとときだけだ。
今夜は大人数の現場。
アタマではないので、埋もれていよう。
兵隊に徹しよう。