壁の言の葉

unlucky hero your key

蚯蚓。


 土手のサイクリングコースで、何匹も干からびていた。
 何かを目指したのか。
 あるいは何かから遁れようとしたのか。
 暑くてたまらず地上に飛び出したのか。
 地上よりも地下の方が涼しくはないのか。


 せめて夜まで待てなかったのか。
 

 いままさに横断を始めようとするのもいた。
 丸々と肥り、そしててらてらてと光っている。
 シューズのつま先で叢の方へと弾いてやる。
 けれどまた横断を試みるのかもしれない。


 酷暑なり。
 平日でもここの土手は日中から人がいる。
 テントを張ってバーベキューをしている人がいたりする。
 けれど今日はさすがに見かけない。
 ロードバイク乗りたちはいつもどおりの無愛想で。
 橋の下のホームレスは今日も何かの本を読んでいた。


 雑木林に棲む白猫は不在で、
 烏が木陰で涼んでいた。 
 鳩が除草跡に群がっていた。




 蚯蚓太陽に灼かれて死んでいく。






 ☾☀闇生☆☽