かつて携わった現場はいまごろどうなっているのだろう。
休憩で通ったトイレ、とその公園。
銀杏の梢の下のベンチ。背もたれの傷。
砂場にずっと放置されあった黄色いシャベルと青い熊手。
水飲み場に置かれていた猫の皿。とその食べ残し。
ガードレールの凹み。
ひとつだけメルヘンなデザインの家。
中央分離帯に投棄された粗大ごみ。
雨宿りした歩道橋とその階段の裏側の塗装禿げ。錆。
傾いた電柱に貼られたジョークシール。
壁のいたずら描き。
それらは同じ現場にいた仲間たちも見たはずだ。
けれど、記憶しているのはあたしだけなのかもしれない。
確かめようにもそのとき組んだ仲間たちはもういない。
☾★闇生☀☽