降るように次々と蝉が落ちてきて、
敷きたての合剤のうえに仰臥し、
湯気のなかでもがきながら絶えていく。
バルーンライトに突撃をくり返しては、失速して落ちてゆく。
作業車のアイドリングがうるさいとの通報があり、作業員は休憩中でも冷房の恩恵に授かれずにいる。
ただでさえ汗ばむ夜だ。
舗装が完了したあとも散歩中の犬が足をやけどをしないようにと、警備員が保安に残される。
ぽつんと立たされた彼に、やがて朝が来る。
この季節、そう簡単に合剤の温度は下がってはくれない。
せめて冷房を。
レーキを使う職人たちのつかの間の休憩に、せめて冷房を。
追伸。
みどり豊かな公園で、その林のなかを歩けばのそのそと歩くヒキガエルに出くわしたりする。
おそらくは、羽化せんとして地上をさ迷う蝉の幼虫を捕食しよういうのだろう。
闇生