となりの。

 隣のテーブルの人たちがなにを食べているのか、やたら気にする人がいる。
 ちらちらと隣のテーブル事情を覗いているその無防備な顔もまた見られているということにまでは気が回らない様子で。
 それはまあ好奇心というやつだし。
 活力がはみでちゃったわけで。
 この店は何がうまいのか、などといった『場』を読もうとする行為でもあろうと。


 同じテーブルでも仲間が選んだものがうまいのか、気になって仕方がない人もいる。
 関係の密度によっては、分け隔てなくシェアしたりして楽しむもので。
 これはこれで楽しい。
 盛り上がる。


 けど、他人の口のなかに一旦おさまったものにさえ興味を持つものがいる。
 なんなら横から奪おうとすらする。
 

 いやなに、食べ物ではなく仕事の話なのですがね。
 シェアというよりは強奪だし、なにより品がない。
 他人が食ってるものはすべておいしそうに見えて、自分はしょっぱい思いをさせられていると考えがちな人たちだ。
 あるいは、いま口にしているものも十分にうまいのだが、もっとうまいものがあるに違いないという。


 比べたその時点から、不幸がはじまる。
 けど比べずにはおられない。
 

 比較は必要だし、ある種の競争というのもなくては面白みもない。
 けれどそこに「おれにも食わせろ」的な、血の池地獄のごとき関係におちいると、不幸の連鎖だ。
 いえす、底辺。
 めんどくせえ。
 



 常駐先があるにもかかわらず、そこから一時的に剥がされて、ポンコツ大集合的な単発の仕事を押し付けられた。
 さんざん蹴られて弾かれたあげくあたしに押し付けられた案件。
 あたしに常駐先がないならわかる。
 

 まあ、いい。
 こうなった以上は、やるけどね。
 この不快を引きずって場の空気を悪くするのは本意ではないのだし。
 おにぎり作ったし。
 麦茶凍らせたし。
 目くそ鼻くそなんとやら。
 傍から見たらあたしもそんなポンコツのひとりなのだし。

 

 ☾☀闇生★☽