黒田硫黄著『セクシーボイス アンド ロボ』#1、#2(全二巻)小学館 読了
趣味と実益を兼ねてテレクラのサクラをしている女子中学生が、その変幻自在な声と鋭敏な聴覚、そしてひょんなことからその相棒となったフィギアおたくのおっさんを駆使して、事件を解決していく物語。
社会の闇と、少女の日常を行き来するコントラストが秀逸である。
基本は謎ときであるし、エンタメ的な要素に溢れているはずなのだが、筆ペンで描いたような画風とあいまって、各話はそれぞれ一編の詩のような語り口であった。
確固とした自分の世界観を持っているこういう人たちの作品には、いつも嫉妬を感じる闇生だが。
恐らくは、その場面の空気とか、匂いのなかで執筆しているのだと確信。
これはエンタメ的な要素の強い作品では、つい軽視されがちで。
しかし逆にその空気だのみになってしまうと、ほんとに『詩』で終わってしまう。
主人公ニコの行動力、直観力、若さゆえの奔放も際立っているが、その強さゆえのもろさがさりげなく意識されている。
若さのはかなさ、と言おうか。
テレクラを嗜むという「女子中学生らしからぬ」スレた一面と、純な感傷的一面の同居がみずみずしかった。
愛しく、美しい話たちである。
え?
これで完結?
☾☀闇生☆☽