壁の言の葉

unlucky hero your key



 これほどまで日本人に愛されつづける木に、
 その花の美しさに、
 底なしの狂気や死を見出した日本の文学ってのは、
 あのね、
 誇っていいよね。
 桜の森の満開の下とか。


 いや、
 そもそも美と恐怖は、表裏一体なのか。
 恐怖というより、畏れなのか。
 とおりすがりの女子高生たちが、その花にケータイをかざして「これまじかわいいんだけど」と写真を撮っている。
 なんでもかんでも可愛い、可愛いと。まったく。
 んが、
 可愛いの語源は「めんこい」→「むごい」という説があるといふ。
 可愛いは、本来むごいのだ。
 はかなさは、残酷なのだ。
 なるへそ。可憐とは、そういうことなのかもしれない。
 




 ☾☀闇生☆☽