ヴゥゥ、ヴゥゥ、ヴゥゥ…。
朝五時。
ケータイのヴァイブ音におこされる。
夢うつつに手を伸ばしたのだが、
見ると着信していない。
え?
音をたよりに探索すると、
すでに使わなくなって久しい方のケータイが鳴っていることを知った。
知らない番号からである。
まもなく先方は、伝言も残さずに切り、
立て続けにまたかけてきた。
この古い方のケータイは、
ケータイの所持を毛嫌いし、
かててくわえてあまりに連絡をよこさないあたくしに焦れた実家の親が、
なかば強制的に送ってきたという代物なのであーる。
ようするに親しか、この番号は知らないと。
そう。げに哀しきひとりもんのホットラインなのだ。
そこへかけてくるとは、何者ぞ。
その着信の番号、
06からはじまるということは、関西か。
となれば知人も肉親も、かすりもしない。
であるのに、
おいおいおい。ひょっとしてあいつか?
などと気にしてしまうあたり、
誰からも必要とされない、ぼっちのぼっちたる所以だろう。
着信の履歴をさかのぼれば、こいつが定期的にかけてきているのがわかる。
なんなんだよ。
朝の五時にさ。
ううむ。
どうしよっか。
折り返しかけてみよっか。
というそんな人恋しさにつけこんで、
孤独なご老人をターゲットにした詐欺がはびこるのだろう。
このたびは、それを痛感した次第であーる。
つらいなあ。
こういうことなんだな、
ひとりで歳を重ねるということは。
☾☀闇生☆☽