壁の言の葉

unlucky hero your key


 してやられた。
 エンドレスにハマったネガティヴシンキングの最果てのこと。
 いっちょひとりで飲んだくれてやれと悪循環に拍車をかけた昨夜。
 案の定、酔えない。
 きちんと布団で寝ている始末である。
 情けない。
 根性が足りない。
 足りないあまりに定刻よりだいぶ早く目覚めたはいいものの、ちゃっかり自炊はサボる、そんなあたしだ。
 いそいそと近所のガストに出かけるのだが、
 それはもう「すんません」の精神で行くのだが、
 朝の四時から五時は閉店タイムなのね。ガスト。
 特にここの支店は五時過ぎても開いてないことがままあるわけで。
 んで、仕方なく隣の松屋にバッテリーの充電をば頼んだのだけれど。
 してやられたのだわ。ここで。
 あのね、この時期の松屋ってカウンターに座るとまず出てくるのがお冷ではなく、熱いお茶なのよ。
 その湯のみで凍えた手を温めつつ、のほほんとして注文したものを待つという、そんなイカシタ冬の風情になるはずなのね。
 なのに今朝のお茶は常温でございますよと。
 凍えた手に優しくないですよと。
 侘びしき未明のおっさんに、冷たいですよと。
 ひと口飲んで、はてと湯のみを覗くと、減ったぶんだけ浮き上がった茶渋の輪がそこにあるではないの。
 いったい何時間置きっぱなしにすれば、この輪が残るのか。
 してやられました。
 深夜版のにいちゃんにやっつけ仕事かまされました。
 けどいいんです。
 どうせ自炊をサボったのがいけないんです。
 弁当も作りません。今日は。
 断固として不貞腐れていく所存でございます。
 それはもうケータイのアドレスをずばずば削除してやる、そんな不貞腐れっぷりです。
 断・捨・離なんて、こちらがするまえからされてるものなんです。





 井上雄彦の『リアル』の最新巻が出るのです。
 せめてそれだけを本日の希望にして、やりくりしようぢゃないかと。
 
 
 
 




 ☾☀闇生☆☽