壁の言の葉

unlucky hero your key

シングルマン。

シングルマン/RCサクセション



 「清志郎さんがなんであんなに長く業界にいられるのか、わかった」


 そう言ったんだそうな。
 むろん、冗談混じりにね。
 当時在籍していたEMI所属アーティストによるイベント。
 それを終えたあとの、ICEの宮内さんの発言である。
 当時、仲良くしていただいていた同僚から聞いた話だから、この闇生にとっては又聞きなので勘弁。
 それによると、ああいったイベントが終わると、
「おつかれ」
 清志郎さんはさっさと帰っちまうと。それがきっと秘訣だと。
 打ち上げだなんだと、ずるずるしないんだな。
 残っていると、古株にさそわれて、なんじゃかんじゃとしがらみを作ってしまうと。そういうことらしい。


 その楽屋では古株某が、大物ベテラン某にケンカをふっかけていたらしく。
 まったくもって大人げない。
 んで、
 その仲裁に、ギタリスト某が入っていたとか、いないとか。を目撃したとか、しないとか。
 そんな、お世辞にもクリエイティヴとはいえない空気に、引きずられてしまうのである。
 俗に『染まる』というやつだろう。
 未来の才能が、日々そんなつまらないことで潰されたりしているのだ。


 そこへいくと清志郎は、群れない。
 潰されるのも、潰すのも、拒むのだな。
 強さとは、孤独でいられること。
 つまりは、そういうことなのだ。


 待ってるぞ、清志郎
 



 ☾☀闇生☆☽


 収録の『夜の散歩をしないかね』。
 お月さまがいいと、思い出すのである。
 『真摯に屈折する』清志郎が、青くて、若くて、こそばゆいくらい。
 これは、まぎれもなく若い時でないと作れない音ではないかと。


 それはともかく『ヒッピーに捧ぐ』で泣け。