壁の言の葉

unlucky hero your key

公園 深夜


 距離をおき時間がたてば、嫌だった奴もそう悪いやつでもなかったように思えてくる。
 社会にいる以上は人並みにいろいろあったろうし、その都度傷つきもしただろうし。
 何よりおたがい歳をくった。
 これが大きい。
 齢相応に人間が練られてきたはずであり。
 なるほど敵も大人なのであって、社交的・友好的なふるまいをしてくれるではないか。



 そう思って近づいた己のあさはかさよ。
 まんまとはめられた。
 



 人は変わらない。
 成長しない。




 そう胸に刻んできたというのに、またも思い知らされる。
 他人に期待するのが間違いなのだ。
 なんど思い知らされたらわかるんだ。
 自分の未熟を知る。
 自分もまた自分で気づけないかぎり、成長しないのだ。
 なんと愚かな……。




 ひとり現場をはなれる。
 公園の夜気に憎悪を逃がす。
 逃がす。
 頭を冷やす。





 若い頃、憎悪を糧に生きようと努めていた。






 蚊は、もう出ないな。






 明日は雨の夜勤。





 ☾★闇生☀☽