先日紹介した塔島ひろみの車掌文庫シリーズ*1。
1巻目のあと2巻目が欠品ということだったが、ようやく入荷したということで贔屓の『旅本*2』と併せて注文。
その到着が待てず、3巻目に手を出してしもーた。
育児奮闘記、つづく。
この巻にきて赤ちゃんはめでたく保育園に。
これにて母は子を保育園にあずけ、やっとこさ職場復帰になるとおもいきや、そうは問屋がおろさない。
赤ちゃんというのは健康状態も機嫌もころころ変わる謎の生物だ。
その保育園では、園内感染を防ぐためだろう、入室前の検温で37.5℃を超える子供は『追放(著者曰く)』なのだそうだ。
母は子をあずけたその足で晴れて職場へ向かうつもりであったが、予定はあっけなく崩される。
体温計はその日、無情にも37.7℃をしめすのだった。
家では平熱だったのにー!
たった0.2℃の違いで門前払いをくらう母子。
37.5℃の分厚い壁。
かかりつけの医師に問えば、そのくらい熱ではないと言われ。
しかし保育園は、園の契約医師が設定したきまりを破って「もしも」のことがあってはかなわない。
つまり他の赤ちゃんに伝染させる恐れがあるから、ルールに厳密だ。
ちなみにこのくだりは平成八年のこととして記されている。
新型コロナでも当初37.5℃を目安値として広報された。
一応、健康と不健康を見分ける目安として慣例になっていた数値ではあるのだろう。
この感染症の具体的な特徴がつかめていない状況では、そうした慣例化した基準を持ち出すだろうし。
あの時点で、なぜ37.4℃は良くて37.5はダメなのか、などと根拠を追及しても始まらない。
どこかで線引きは必要だろう。
また、
想像妊娠ならぬ想像感染よろしく、思い込みや不安解消のためだけに病院に人が殺到するのも考え物だ。
これは大いに有りうる。
くりかえすが、殺到したところであの時点ではまだこの病気に関する情報自体が少なかった。
専門家でさえ公式・非公式をふくめた情報収集と模索に明け暮れていたはず。
マスクやトレペに群がる不安症の行動がさらなる不安を掻き立ててもいた。
しかしまあ、保育園側の「入れません」の断固とした態度は、著者側からすれば冷たく薄情にも思える。
あまりにもマニュアル主義だし。
んが、
今回のコロナ騒動での入国者および帰国者・移動者への対応、処置と重ねて考えると、どうだろう。
案の定、本の中ではこのあと父が熱を出している。
闇生