午前三時。雨。本降り。
二階の雨どいからあふれる雨水が隣家の室外機をびたびたと打っている。
日勤、中止になってくれと祈りつつ。
ひとつ現場が終了すると、そこで組んだ仲間からの連絡も途絶える。
通勤の利便性、
その現場の平均的な拘束時間、
およびメンバーの安定した能力値、雰囲気など、自分に少しでも得だと思える現場につきたがるのが人の性。
平たく言えば損得で人は動く。
職長をしていると、それがゆえに売り込みを受ける。
「呼んでください」
カネの切れ目が縁の切れ目などというが、現場の切れ目が縁の切れ目といったところだろうか。
現場が違っても連絡を取り合うような仲が仮にあるならば、それを友人というのだろう。
先の現場で人懐っこく近づいてきたM君もとんと連絡をしてこない。
その前の現場で組んだKも。
もっともこの二人も自分発信で連絡をしてくることなど、現場が同じだった時期でもあまりなかったことだが。
某現場から逃れたいばかりにアピールしてきたSさん。
この人も、うちの現場の重要な戦力として機能してくれたが、現場が終了した今となっては連絡を取り合うこともなくなるだろう。
師匠であり急の退職を余儀なくされたTさんからも、依然として連絡はない。
前職の後輩Oに定期的にメールをしていたのも、利害が影響しあわないコミュニケーションというものを模索したゆえだ。
むろん、こちらからの連絡をやめたので、返信しかしないOとの関係は絶えた。
本を閉じ、
朝食をつくり、食して、歯を磨き、
雨は激しさを増すが、中止連絡はまだ来ない。
中止ならバイク屋に行こう。
カブ買うんだもんね。
闇生