疵。

北野武監督・脚本作
『竜三と七人の子分たち』DVDにて


作り手の情念を嗅ぎとれず。

技術とアタマを優先して作っている節がますます濃厚となっている。
イマジネーション優先の作風で世に出、監督の名がもはやジャンルとして扱われるようになってなお、ちゃんとエンタメも作れるんだぞというアピールをすると、心ないものが出来上がる。

セロニアス・モンクオスカー・ピーターソンのようなゴージャスな演奏をする必要はないし、
『ほんとうは流麗に弾ける』かどうかの議論も意味がない。
けど我々凡人はそのへんのところを確認して安心しようとするのだ。
ピカソが写実的にも描けたかどうかを。
そこへ表現者側がのってはいけない。


承認されることでコンプレックスが解決されると、人当たりはよくなるが、その分表現者としての牙は鈍化するのではないか。
むろんそのあたりの苦悩、葛藤は過去作によって告白されても来たが。
アウトレイジのヒットを『職人』としての承認と解釈したのかもしれない。
ブランド化して利が嵩をませば、人もあつまってくるし、しがらみも生まれて自由もきかなくなってくるだろうし。

あたくし的には、鑑賞中たくさん笑った。
んが、
鑑賞後にあらためれば受けた傷は浅かった。


鈴木慶一の音楽が、映画としての芳香を辛うじて保たせたか。


古巣事務所(しがらみ)から出た次の一作に期待。


闇生