壁の言の葉

unlucky hero your key


 およそ1年ぶりの2号現場であった。
 雨のなかの通行止め。
 いやですな、通行止めは。
 クレームと苛立ちの矢面というやつである。
 待機時間が2時間もあったので、雨の中、相方さんとトークセッションということにあいなった。
 けど、このかたもやはり話を聞かない。
 聞いてくれない。
 柔和で明るいお喋り好きで、
 腰も低く、
 なおかつ軍隊調の言葉遣いをまぜるおっさんではある。
「〜であります」
 式のやつね。
 それでいて藤原釜足似の、憎めぬ奴だ。
 それなのにこちらの話も、返しも、はねのけて喋りつづけるのだわ。
 釜足が。
 稀に聞いてくれても、生返事で引き続き自分のことを話そうとするから、文脈としてとんちんかんになってしまう。
 なんだろう。
 こんなにまで話を聞かない人ばかりに出逢うということは、こっちに何か重大な欠陥があるのだわな。
 やっぱ。
 ううむ。
 どうしよう。
 早く帰って酔っぱらっちまおうと。
 んで、


 帰宅するや、潰れました。


 して本日も現場を与えられることに。
 5/1、2と仕事がないとの情報があったので休む気まんまんであったところにまさかの展開である。
 まあそれはそれとして朝には雨がやむという予報を得ていたので、自転車で行ったろと考えた。
 なおかつ汗臭い現場らしいので、使いそびれていたニラをごっそりと朝蕎麦でやっつけた次第であーる。
 にもかかわらずだ、今の時点で雨がやまないのよ。
 どーすんのよ。
 電車か?
 ニラ臭いまま、電車でゆくのか? このおっさんは。
 え?
 どーすんだよ。





 ☾☀闇生☆☽