壁の言の葉

unlucky hero your key


 ぼろぼろに疲れている。
 いったい一日に何キロ歩いているのか。
 悪循環なのが、その疲労感を「食べて」補おうとすること。
 それも脂っこいものや、甘いものでエネルギーを挽回しようとする。
 食欲に牽引されるのではなく、薬のように、手っ取り早く、義務感で摂取する。
 コンビニの揚げ物。
 ドーナツ。
 アイスクリーム。
 それがだるさにつながる。
 帰宅するや、心身の凹みを埋め合わそうと酒に頼る。
 自然、量が増えて就寝前にまた食べる。
 昨日はもう動けない、とまで思った。
 足がもう他人のもののような感覚。
 移動中に立ち止まり、膝に手をついてうつむく。
 まっすぐ歩けない。
 サッカー部の夏の練習を思い出す。
「膝に手を付くなっ」
 よく怒鳴られた。
 あれはあれで意味があったのだなと今更に気づく。
 動きが止まるのもそうだが、何より視界が下がっていたのでは周囲が見えない。
 顔は常にあげていないと、刻々と変化していく状況の把握ができない。
 気休めに歌を思い出そうとする。
 生来、歌詞を覚えようとしないから、最後まで歌える歌がひとつもない。
 そらみたことか。
 んで、歩く。
 歩く。
 やめりゃいいのに。
 サボりゃいいのに。
 お人よしは食い物にされる。
 自己満足なだけで、彼らは実は誰にも感謝をされることがない。
 で頑張ったぶん、現場の人数を減らされる。
 馬鹿を見る。
 馬鹿が見る。


















 そらみたことか、と馬鹿が嗤う。




 ☾☀闇生☆☽