壁の言の葉

unlucky hero your key


 何年かぶりにピザをいただく。
 なんとなくそんな気になった。
 宅配屋に直接買いにいくともう一枚ぶんをプレゼントという。
 つったってひとりだ。
 そんなには食せないので、その分をサイドメニューにしてもらう。
 ピザを片手に自転車で向かい風のなか、帰った。
 ささやかだが、それと安もののワインでこっそりと一年のメリハリをつけておくことにする。
 定点観測的に老けていく自分の顔をアップしていこうと思っていたのだが、今年はサボる。
 誰も得しない。
 ついでといっちゃなんだが、
 デジカメをアマゾンで注文する。
 一万円もしないやつ。
 これまでケータイでしか撮ってこなかったので、ちょっとだけ気分はかわるかもしれない。
 撮りたかったけれど、機能的に撮れなかった風景が撮れることにはなるだろう。
 んが、
 きっと使いこなせずにしてしまうに違いない。
 弘法は筆を選ばず。
 チャーリー・パーカーはおもちゃのサックスでも、まったく遜色なくいつもどおりにプレイしたという。
 朝まで飲んで、明け方に寅さんの動画にたどり着く。
 笑う。
 笑う。
 

 ヒロシっ。お前と俺とは別の人間なんだぞ。
 早い話がだ。俺がイモを食って、お前の尻からプッて屁がでるか?
 どうだっ。


 高校から付き合っている友人からメール。
 ちょっと手伝ってほしい旨。
 ありがたし。
 自分の名前のついた数十人規模のパーティを恒例化しているという。
 なんなんだその順風満帆ぶりは。
 要はそこでの出し物について、ささやかな協力をさせてもらうのだが。
 俺が山ほどピザを食ってもイモを食っても、そいつの尻から屁は出ない。
 
 

 けれども、
 ピザ食った元気で何事か他者に働きかけることはできる。
 イモ食って出した屁でひと泡食わせることはできる。
 思えばそんななけなしの気構えではじめたブログだったんだ。
 ここは。

 





 あたしゃ、ここにいる。
 
 


 ☾☀闇生☆☽