壁の言の葉

unlucky hero your key


 夜中に目が覚めて、眠れない。
 といって、なにかやらかそうってほどのテンションにもならない。
 とりあえずパソコンを立ち上げて、メールでもチェックしてみる。
 わが受信トレイ。
 広々として惚れぼれとする。
 もはや業務連絡の返信すらもらえないとは。
 どうよ。
 

 失笑。


 で、思いだした。
 よく、
「あとで話すから」
 といってもったいぶる人、いませんか。
 なんかしらんけど、思い出し笑いをこらえながら、さ。
 今ここで、ってのもなんなんで、あとでと。
 あるいは深刻な素振りで、あとでちょっと話したいことがあんだ、と。
 あたしゃなんどもあるわ。
 でもって、
 かならずといっていいほど、結局のところ話してもらえないんだな、これが。


 ひと月経って、
 ふた月経って、
 気になって仕方がないから、こっちから振ってみる。
 するってえと、
「え? なんだったっけ」
 と、振った当人が忘れているのだ。
 だったら最初から振らなきゃいいのに。
 そう思うのだが、振り逃げをするんだ。
 こき逃げだ。
 ピンポンダッシュなんだ。


 それは、故意にではないのは明らかで。
 だもんだから、忘れられてしまうようなあたしのキャラの薄っぺら加減に、問題が、ある。
 そりゃあ、あるさ。
 なくてどうするよ。
 

 あれも鈍感力というやつなんだろうか。
 なんだろう。
 こき逃げこそが、気持ちよく生きるコツなのだろう。
 読んでないんだけどね、あの本。
 信頼できるプロ書評家、豊崎由美が痛烈に批判していたから、まあそんなところに違いないと。
 そういうことにしておく。


 んが、
 そうしたところで、振られたこっちは覚えてしまっているから、鬱陶しいのである。
 あの話の続きは、いったいどうなったのか。
 彼が思いつめていた問題は、どうオチがついたのか。着かなかったのか。


 ああ、
 俺も振り逃げしてえ。
 臭いの一発、こき逃げしてえ。
 悶えさせてえ。


 んなこたぁないけどね。
 断じて。
 そんな身分でもないし。


 あ。
 うだうだやってたら、ちょっと眠くなってきたぞ。
 今日も仕事だぞ。
 少しでも寝ておこうっと。




 ☾☀闇生☆☽


 追伸。
 無駄を省こうかなと、いっそメルアドを返上しようかなと考えた。
 けれど、
 あれっていまや住所のようなもので、
 訪れる人がいないからって捨てられるものではないのですな。
 こんなブログにしろ、
 通販にしろ、なんやかやと登録が必要になる。
 まあ、
 無駄にこそ、文化がひそんでますから。
 しばし、ひそませてやりましょう。
 太っ腹だ。


 おやすみなさい。