午後、中野ブロードウェーで開催されている『クーロンズゲート原画展』に行く。







 原チャリTODAY F号を使った。
 そろそろこいつに名前をつけてやろう。



 
 とかなんとかイタイことを呟いてみる。
 そういやレンタルビデオ屋時代、同僚がおニューのマウンテンバイクに『桜樹ルイ号』と名付けていたことを思い出す。


 東へ。


 目をつけておいたバイクの駐輪場が満車のため、仕方なく公園前の歩道に停める。
 もとより自転車とバイクでごった返している状態だったので、便乗させてもらった次第。
 かたじけなし。
 この日は夏日。
 公園の芝生は所狭しと家族連れで賑わい、噴水では子供たちが水遊びに興じている。
 そんななか、中野ブロードウェーは相変わらず盛況のご様子で。
 目当ての原画展も小規模ながら入場無料ということもあってか、混雑とまでは言えないながらも絶え間なく人が出入りしているようではあった。
 規模は学生のワンルーム・マンション程度か。
 パーテーションで区切られた学園祭の模擬店といった安っぽーい風情。
 原画は四方の壁に掛けられて。
 部屋の真ん中にガチャポンが2台据え置かれ、クーロンズゲートの意匠をこらしたバッヂがゲットできるとのこと。
 発売された設定集のSAMPLEが置かれていたので、チラ見をかましておいた。
 もっとちゃんと目を通しておきたかったのだが、隣に立った女子二人組が、明らかに順番を待っていると思しきオーラを放ち始めたので、さりげなくポジションをゆずることに。
 おっさんの心得である。
 にしても、来場者は若い方ばかりである。
 クーロンズゲートはプレステ初号機のソフトであるからして、とてもオンタイムで体験してきた人たちには見えない。
 んが、廃墟ブームだのなんだのといった退廃的な空気にこがれちゃう方というのは連綿として今なお絶えることがないらしく、こじらせた挙句にここに辿り着く人も少なくないのだろうと。
 ともかく、こちらが期待し過ぎたのだろう。
 胸すくような混沌はここには無かった。
 ついでに館内をぶらついといてやることにする。
 なんか演歌関係のソフトを扱うお店に、ご老人たちが集っている。
 長いすにみな肩を寄せ合って座っているところから、病院の待合室かといった風情だが、こちらも安っぽい模擬店のごとき趣きだ。
 ここ中野ブロードウェーにはマッサージ店もあるので、さてはそういった商売かと思ったが。
 その老人密度の高さのわりには熱気といったものがまるで無く、会話も無く、視線も交わさず、背を丸めてぢっと座っておられる。
 覗けば、周囲にはソフトフォーカスのかかった女性のポスターがいくつも貼られており。
 いかがわしい。
 あられもなく、いかがわしいではないか。
 クーロンズゲート原画展なんかよりむせかえるような猥褻さがあると見たあたしは、正視に絶えず、何度かしれっと通り過ぎて様子をうかがった次第。
 我ながらあたしもいかがわしかった。
 で、どうやら読めた。
 地下アイドルならぬ地下演歌女性アイドルがイベントをするらしく、老人たちはそれを待ちわびているらしいのだ。
 店頭、店内に貼りめぐらされたポスターの『アイドル』。
 ソフトフォーカスの向こうで微笑む彼女にナマで会える〜、の会だったのであーる。
 ナマの引力というのは相変わらず強力らしい。
 むろんAKBだのなんだのといったメジャークラスのアイドルたちも、それをウリにして久しいのだが。
 あたしも前職のエロDVD屋で、AV女優さんを招いてのイベント開催に付きあったことがあった。
 鼻の下をのばしきった新旧のカメラ小僧たちが列を成したのは言うまでも無く、はるか関西方面から新幹線を使って来店された女性ファンもあったのだから、ナマは今なお侮れない。
 もっとも驚いたのは、そのイベントのメインではなくゲストの男優さんを目当てにした熱烈な男性ファンがいたこと。
 AV界の怪優として名高い山本竜二のご尊顔を拝顔し、そのトークを傾聴し堪能したいとの一心でのことであった。
 彼はゲイではない。
 目当てが芸なのであった。
 入場にはメイン女優の主演するDVDの購入が条件となっており、彼は山本竜二とメイン嬢の共演作はすべて過去に購入済みなのだが。
 それすら意に介さず「あ。買えばいいんですね」と別の店で購入済みのタイトルをイヤミのひとつもこぼさずにお買い上げになったのであーる。
 でね、このときつくづく思ったのだが、こういうイベントをすると感謝されるのだなと。
 店員であるのに客に「ありがとうございました」と頭を下げられることが珍しくない。
 こっちゃ恐縮してしまう。
 むろんイベントの充実度が高くなければ、そういう『現象』はおこらないのだろうけれど。


 そういやもう何年も芝居を見に行っていない。
 コンサートに出かけることもなくなった。
 なんかね、時間もおカネも損しちゃったなあ、といった内容のが続くと、へこたれるよね。
「ありがとうございました」にはならない。
 けど主催者側は、でかい興行ほどふんぞりかえっている。
 むろんこちらの年齢と収入減も原因のひとつでしょーが。
 若いと、後先考えずに好奇心を最優先できるんだよね。たぶん。




 そろそろナマ、なんか行っとこかなあ。




 「Kowloon’s Gate Archives」発売記念 クーロンズ・ゲート原画展 |




 ☾☀闇生☆☽