壁の言の葉

unlucky hero your key

そのリーダーは。

 教えているつもりが、優越感をむさぼりたいだけの能力自慢になっている。
 叱っているつもりが、ただ罵っている。怒っている。
 など。こんな感情的になっている人に対しては、抗弁も弁解も意見もない。
 対話はない。
 一方通行である。
 こういうのに出くわしたら、あたしゃめんどくさいから返しは一回きりで引っ込むのだ。
 動き続けている現場では、それ以上は無駄になると見限るのであーる。
 その一回で、相手が聞く耳を持つか持たないかくらいはわかるもんで。
 

 後輩にたいして責任をもつのはわかる。
 そんな自分につい酔うのも、酔いたがるのも、わからないでもない。
 けどそれが束縛になっていやしないか。
 なにからなにまで自分で手を付けて(犬のマーキングのように)いるだけではないのか。
 人は任されることで、仕事の面白さを実感するんじゃないのかい。
 考え、工夫する楽しさを味わえるんじゃないのかい。
 経験者として先輩として駄目だしをするのはいい。
 けれど、その直しは当人にさせるべきじゃないのかい。


「あ、いい。もう俺がやる」


 嫌な仕事を率先して背負い込んでいるつもりだろう。
 重い荷物を代わりにもってやった気でもいるのだろう。
 んが、この言葉は仲間への戦力外通達でもあるのだ。
 ああ、だからこいつの仕切る現場はおもしろくねえんだなと。
 あいつが動かねえ、こいつが動かねえと罵るが、仮に自発的に動いたところで全部自分ルールに塗り替えるだろうに。
 全否定するだろうに。
 それじゃ動かないよ。人は。




 もとから役立たずがいるのではなく、アタマが周囲を役立たずにしてしまっている。
 
 
 





 いいか?
 言っとくぞ。
 お前の現場はつまらねえ。



 ☾☀闇生★☽