三国連太郎といえば『マルサの女2』なんだよなあ、やっぱり。
映画通ならば、もっとシリアスな名作をあげるのでしょう。
んが、
まっさきに浮かぶのがなぜかこれなんだわ。
作品自体、前作よりもさらにデフォルメがエスカレートしてトゥーマッチなところが多いし。まあ、それが伊丹十三らしさといえばらしさなのだが。
地上げのコツは何だ? わかるか?
それは愛情と、おどしだ。
のセリフに代表される緩急・強弱の自在っぷり。
そこに見惚れ、聴きほれる。
写真週刊誌のカメラマンをおどすあの一連の下りとかね。
おだやかな言い回しの間に、シャッターを切り続けるカメラマンへの「だからそれをやめろ」の一喝を挟みつつ、間髪いれずにまた本題を続けるあそことか。
カメラマンの部屋にある巨大レンズをのぞきこむのは、三国のアイディアだったというし。
ということはエアスプレイをいじるのもそうでしょう。
それから取調室での慇懃無礼から恫喝、狂乱への変貌とか。
そんなこんなのいやらしいまでのうまさと魅力にあふれている一品なのは間違いない。
それが伊丹のアクの強い徹底した娯楽志向にものの見事にハマっているのね。
ゆえに今にして思うのだ。
不世出のふたりの、奇跡のセッションだったと。
邦画界はちゃんとあの才能を使い切ってやったのだろうか。
☾☀闇生☆☽