クリストフ・バラティエ監督作品『幸せはシャンソニア劇場から』DVDにて
劇場の灯を消すな。
とは3.11直後の野田秀樹の言葉だった。
エンターテイメント界に自粛ムードの強まるなか上演している芝居に地震のシーンがあり、それが震災を連想させると公演の継続が危ぶまれた。
娯楽が、まるで目の敵のようにあつかわれる風潮の真っ只中のことであった。
そして、劇場の安全確認を終えるや、この言葉のもとに彼はただちに公演を再開している。
(劇場の灯を消してはいけない。)
この映画を観ながらふと、それを思い出した。
舞台は1936年のフランス。パリ。
不況にあえぐとある劇場。
劇場がつぶれて職を失った専属のスタッフたちが、その劇場をとりかえすべく奮闘するお話だ。
時代はナチスが台頭しており、言論の自由や表現の自由が規制されつつある。
けれど映画は、そこに発生しがちな政治的メッセージをことさらに強調することも無かったように思う。
つまり浪花節にはしなかった。
といって、スルーするでもなく。
軽妙に、あくまで自然に、娯楽であろうとしている。
そこが楽しいし。そこが劇場のありかたであると言わんばかりにね。
主役のおっさんがいいね。
こういう配役って日本では難しそうだ。
ミュージカルシーンが苦手な闇生にも、愉しめた。
なにより客席と舞台の劇場空間のありかた理想的で。
おもわず「あ。いいなあ」と。
☾☀闇生☆☽