壁の言の葉

unlucky hero your key


 かたじけないまでの、棚ボタアクセスの日々である。
 そのほぼすべてが映画『のぼうの城』の感想目当てのご訪問という事態であり。
 おそらくは結局のところ「面白いのか、つまらんのか」といった大雑把なリサーチが目当てかと思われるわけで。
 つまりがネタバレは御免こうむりたいが、身銭を切ってまで観るほどのシロモノかどうかの評判を知ろうと。
 あるいは、
 鑑賞後に感じた事ごとを、言葉にしてくれているのをめっけてすっきりしときたいと。
 共感したいと。
 そうして反芻、咀嚼がてらに余韻を味わっておこうじゃんかと。
 くわえて抱いた疑問があるならば、そいつも解決してもらおうじゃないかと。
 そんな塩梅なのだろうか。
 んが、
 なんせあたしが書いたのはその原作となった単行本の感想であるわけで。
 しかも、記してはや数年が経ってもいるわけでござるよってに。
 あはは。鮮度が無い。
 あ〜んど、参考にならない。
 ただ思うのは、本来、自分のとは違う解釈に出会うのが、感想を検索する醍醐味なのではないかということ。
 それこそが、自分を知る作業なのだ。
 石原千秋のいうマッピングとやらも、大雑把にいえばそういうことなのだと思う。
 

 他者の声を聞く、
 という行為は、どうかひとつそういう方向でいかうぢゃないか。



 まったく同じ価値観なんて無い、無い。
 あるはずが無い。
 幻想です。
 そんなもの求めるな。
 時間の無駄。
 面白いのは違った視点、解釈に出会ったときの、自分の変化であり確立だ。
 




 ☾☀闇生☆☽
 

 追伸。
 以上とはまったく関連性がないが、
 週休ゼロの日々から解き放たれて、唐突にお休みをいただく身分となる。
 ひさしぶりに夜明けのウォーキングを敢行した。
 調子こいて復路はジョギングに変更。
 だいぶ以前に頂いたままになっていたビール券を使ってしまおうと、酒屋に立ち寄った。
 んで、
 何年か振りにびんビールをいただくことになった次第なのだが。
 入浴のあと、机の中をひっくり返して栓抜きを探し出し、
 しかるのちに王冠を抜いてぐびり。
 ぷはーっとやって気がついたのだ。
 王冠の裏側。
 プラスチックの内蓋が貼りついているではないか。
 昔、ここにはコルクのシートが貼ってあったはず。
 子供のころ、晩酌をするおやじがこのコルクをはがして王冠をバッジにしてくれたっけ。
 王冠とコルクの間にTシャツの生地を挟み込むのである。
 サッポロの星マークが、どうにもこうにも嬉しかったのを覚えている。
 安いガキである。


 いまだにお安いままで、いる。