ネタバレで。
シュープリームスが大スターとなっていくその過程の内幕を描いたミュージカル。
固有名詞はすべて置き換えられていて、いくつかの人物は実在をモデルに作り上げられているので、決して実録物というわけではない。
んが、
かつて元メンバーによる暴露本がベストセラーとなって、
それらの事情は公然のものとなったらしく、
してここでの物語はその知識あってこそ愉しめる作りになっている。
頭の中で変換しつつ、にやりとするくだりがいくつもあった。
ともかく、
歌唱力は随一なのに外見の華がとぼしいためにコーラスへ、
やがてグループからはずされた実在のメンバーがいたことをこの映画で知った。
半生とはいえ、娯楽映画という寸法におさめるためには、どうしたって時間経過がつまみ食いになってしまう。
尺が足りない。
それは仕方がない。
けれど、
グループを去ったエフィが、クライマックスの解散コンサートに現れるまでの過程は、ぜひとも描いてほしかった。
仲直りの過程、もしくは葛藤を、である。
決して丁寧にしなくてもいいのだが、それこそダイジェスト的につまんでおかんことには感動が弱いとおもうのだ。
たとえば、
Shall we ダンス? では、役所広司が美女講師のお別れ会に現われるまでの逡巡を、極力言葉を廃して描いている。
あの、冴えない顔でパチンコを打って時間をつぶす数秒のカット。
時計を気にして、きっと脳裏にはお別れ会の時間がよぎっているはずで。
それが、行こうか行くまいかと迷う彼の心情を雄弁にかたり、観客は焦燥し、クライマックスに向けてたかぶっていくわけだ。
そういう経過説明がドリームガールズでは抜けているために、あまりに唐突だと感じた。
やっぱりな、で終わってしまうのね。
しかしながらその不自然さも、歌唱力で圧倒してうやむやにしてしまうと。
そもそもミュージカルとはそういう性質なのかもしれないけれど。
ビヨンセをはじめとする出演陣の歌唱力のすごさ。
これについては、いちいち触れるまでもない。
メンバーとエフィとの口論のシーンがそのまま音楽になって歌になってくあたりは、さすがはミュージカルの国。お家芸といったところか。
巧い。
ぐるぐると動くカメラワークを伴って、舌を巻く目まぐるしさでした。
エディ・マーフィ。
なるほど、随分レッスンしたのだろうなと。
あそこまで歌のうまい人じゃなかったよね。
せいぜい歌えるモノマネ芸人といったレベルだったはずで。
むろん米国のそれはレベル高いですが。
そのギャップのせいで、ちょっとおどろいたわ。
シャウトしまくってるよ。
ちなみに彼の演じる役どこはジェームス・ブラウンを彷彿とさせる。
ステージでは『熱演し過ぎて失神』というお約束がウリなのだが、
そんなのはもう古いと自覚してもいる。
J.B.もオーティスもやってるじゃんと。
でもね、
いまだにやってるロックバンドありますよね。
☾☀闇生☆☽