ひょんなことで社会に紛れ込んだ異界の者が、
この映画の場合は河童だが、
やがて公になり、
好奇心を基点として人気を得、
しかし案の定その反動で疎外され、
手のひらを返す人間たちに追放されるハメになるというカタは、
ひょっとすると『E.T.』や『シザーハンズ』と同系なのかもしれない。
などと言いながら、そのふたつとも観ていない闇生なのであるが。
ということは、普遍的なとこがあるのだろう。
大衆批判の黄金パターンといっていい。
しかしその異界の者と、
苛めの孤独の真っ只中にあるネクラの女の子とを重ねてみせたのは、ちょっと光った。
さてこの地味な女の子だが。
ひとりプールの底から空を見上げている短いシーンがある。
やがて彼女が宮澤賢治好きだと知れたとき、観客だけが密かに賢治の『やまなし』を想起して、このプールのシーンを思い出すことになる。
クラムボンは笑ったよ。で始まる川底の蟹の視点でつづる一遍だ。
あたしゃまんまとしてやられたね。
本編中にその説明がなかったからこそ、のにんまりである。
それと彼女が新しい父親? の靴を捨てるシーン。
一見して地味だが、鮮烈だ。
題材が日常に紛れ込んだファンタジーであるだけに、実はこういう身の丈サイズの描写の積み重ねが、あとあと効いてくるのだ。
ファンタジーとリアルの今とが地続きなるというわけ。
最後に。
あくまで子ども向けではあるが、
だからこそ血と死を露骨にしたのだろうと。
最新作『カラフル』への期待が高まりますわなあ。
☾☀闇生☆☽
余談。
ラストを観ながら、
ふと頭の隅で『サマーウォーズ』を振り返る。
せっかくの地方後援だったのだから、
もっと方言を前面に出せばよかったのに。