春靄『しゅんあい』とは春がすみ。
熾烈ではなく、ダイレクトでもなく、そこにあるのにどこかおぼろでやわらかい。
極めて日本的な情景だと思う。
ここでは耳ざわり、というよりも音ざわりと呼びたくなるほどひとつひとつの音がやさしく扱われていて。
たとえばピアノひとつをとってみても、ハンマーの打弦の瞬間を間近でみるようで生々しい。
なのにどの音も露骨でなく、なれなれしくもなく、それでいて余所余所しくもない。
群れずに凛と立っているのである。
HYAKUME改めTakeshi Saitoの新作。
ちゃくちゃくと自分の世界を掘り当てて行っている感がした。
Xでは #hyakumesoundtrack と銘打つシリーズで、
なるほど、聴き手はあたまのなかに詩的な情景、シーンを描かれるにちがいない。
もしくは聴いているその場、その世界に奥行きを彩るサウンドトラックだ。
それをあたしはHYAKUME百景と呼びたい。